履けなくなったジーンズを、捨てる前に少し手を入れてみる
サイズが合わなくなったジーンズを、刺繍やカットオフで手直ししてみた記録。うまくいったことと、失敗して学んだこと。
クローゼットの奥で、何年も出番のないジーンズがあった。サイズが合わなくなったのと、膝が薄くなってきたのとで、着る機会がないまま処分もできずにいた一本だ。思い出があるからというより、単に「まだ使える生地なのに捨てるのが惜しい」という気持ちの方が大きかった気がする。
まず試したのは、ポケットの隅に小さな刺繍を入れることだった。図案は星やイニシャルのような単純な線で十分で、下書きさえすれば、なみ縫いとバックステッチだけでも見られる仕上がりになる。難しい技術より、厚い生地に針を通すための道具選びの方が重要だった。普通地用の針だとすぐに折れる。厚地用の針と糸に変えただけで、作業のストレスがかなり減った。
膝の破れは、別布を当てて塞いだ。チェック柄のシャツの残り布を重ねて、目立つ色の糸でざくざく縫うと、隠すというより「そこに手を入れた跡」がそのまま残る。破れを消そうとするより、繕った跡ごと見せてしまう方が、結果として気に入る仕上がりになった。
丈を短くしたときは、思っていたより長めに切っておいて正解だった。切りすぎたら元に戻せない。少し長めに切ってから履いてみて、鏡の前で微調整する方が、結局は早く済んだ。裾の横糸をリッパーで一本ずつ抜いてフリンジにする作業は単調だが、洗濯を一度挟むと糸が自然にほぐれて馴染んでくれる。
厚みのある部分にミシンをかけるときは、事前に木槌で叩いて生地を潰しておくと、驚くほど針が通りやすくなった。これを知らずに無理に縫おうとして、針を一本折ったのが最初の失敗だった。仮止めを省略して縫い始めて、途中で布がずれたのも同じくらい痛い失敗だった。面倒でも、まち針かクリップで止めてから縫う方が結局早い。
ジーンズ一本を作るのにどれくらいの水が使われているのか、正確な数字は自分では検証できないが、少なくとも「まだ使えるものを長く着る」こと自体に意味がないとは思わない。ただ、その理由を大げさに語る必要もない気がしている。針目が多少曲がっていても、それは自分がやった跡として残る。うまく縫えなかった部分も、次にほどいてやり直せばいいだけの話だった。
