趣味とは何か——「鏡」という言い方を、実験の細部で疑う
趣味には承認欲求や嫉妬が映る、とはよく言われる。だが同じ賞状でも、予告された子どもだけが絵を描かなくなり、不意にもらった子どもは変わらなかった。趣味を「鏡」にたとえる言い方がどこまで通用するのか、実験の細部から確かめてみる。

「AIに代替されない仕事」「肉体労働は安全」という基準を、予測の当たり外れで確かめる。米国中心の研究で、生成AIはまだ揺れている。進路の基準を疑うシリーズの一本目。

順応力は質問票で測れるが、結びついていたのは満足や自己評価だった。職業教育の就業の優位は11か国の平均で49歳前後に逆転したが、追試は割れた。日本のデータは薄い。

年収800万円と1,000万円の差は、独身会社員の試算で手取り年約133万円。幸福の「頭打ち」は、米国の再解析では、日々の気分の分布の下位15〜20%あたりにだけ見えた。収入が効く場面を、四つの軸で分ける。

専門か幅か、大企業か起業か、理系か文系か、大学名か。四つの基準が当たる条件を、研究の数字で確かめる。米国では工学・コンピュータ科学卒の賃金の上乗せが約39%から約17.5%に縮んだ。日本のデータは薄い。

冬に始めた趣味が春まで続くかを測った研究は見つからなかった。休暇中の速歩は夏が冬の半分、米国では新年のダイエット検索が82%増えたが、ある大学のジムの来館は12%増だった。

二人以上の世帯の家計調査(4年分)で、冬の教養娯楽は12月込みで夏の約0.97倍、12月抜きで約0.89倍。宿泊や旅行は減り、月謝や手芸の材料は夏とほぼ同じ額が使われていた。

寝る前にやることを書いた群は、済んだことを書いた群より研究室で約9分早く眠った。形の違うマウス単独は、首肩の障害が大きくは減らなかった。机まわりの工夫を、試験の有無で仕分ける。

血中の硫化物の報告値は、論文によって300倍以上ちがう。温めても脳の血流は増えるとは限らず、肌から入る量の実測も、硫黄泉と普通の湯を比べた試験も見つからなかった。

博物館の来館者が実際に贈り物を交換した実験では、友人や家族の組で、当たりの贈り物に手間は効かず、見劣りしたときだけ効いた。贈り手と受け手の食い違いを数字で読む。

約束された賞状は、園児の自由遊びの絵を半分に減らした。その後の128本のメタ分析と、賞賛が言い方で向きを変える数字まで、原典で読み直す。

殺生石の伝説が語る毒より、記録の噴火は大きい。茶臼岳は1408年からの噴火で180余名を死なせた。開湯伝説の食い違い、温泉の効能の基準、隣の那須塩原の別荘地をめぐる最高裁判決まで、資料で読む。

法隆寺宝物館の「静寂な展示室」、根津美術館の「静謐なアプローチ」。静けさを公式に書く東京の4か所と、何も書かない3館。その静けさが何でできているかを、筆者は訪ねずに公開された説明と研究だけで読む。

1997年の組織の経済理論は、過負荷で判子を押すしかない上司から、実質的な権限が部下へ移ると予測した。その予測が置いていた前提は、生成AIの時代にも保たれるのか。レビューと説明責任と権力の研究を、証拠と推論を分けてたどる。

ノーベル賞受賞者の「少なくとも22倍」は、何と比べた倍率か。このサイトの以前の版は、それを「最大」と書いていた。通説を検証した8本の記事を並べ直し、数字を変えずに意味を変える6つの手口を見ていく。

考案者は、20〜45分の区切りは後に短い休憩を挟めば注意と精神活動を最大にしうると「証明されている」と書き、その参考文献に小説の学習ガイドを挙げた。中身は未確認だ。AIに任せて待ち、確かめる働き方で、25分は何を測るのか。

ブエノスアイレスのチェス選手34人では、マスターに届くまでの練習量が3,016時間から23,608時間まで開いていた。1万時間の元の研究、その後のメタ分析、計画的な練習を唱えたエリクソンとの論争をたどり、練習量で説明できる範囲を確かめる。

睡眠が短い体質については、たとえば一つの家族の二人から、関わる遺伝子の変異が報告されている。ただ、この二人について、短くても支障がないかを確かめた結果は、論文の本文には示されていない。一方、睡眠を削った実験では、眠気の自己評価がわずかにしか増えなくなっても成績は落ち続けた。本物のショートスリーパーを数字で区切る、合意された線は見当たらず、同じ病名の患者3,703人には1,030通りの症状の組み合わせがあった。

結婚して責任感が出た、という趣旨のことを取引先に言われた。自分では、何も変わっていないつもりだった。米国の男性4,287人を追った研究では、既婚男性の17.7%の賃金の上乗せは、伸び方の違いまで取り除くと0.5%まで縮んだ。その違いから計算すると、彼らは結婚の1年前に、すでに8.5%多く稼いでいた。それでも双子で比べると、差は消えない。

「手段と目的を取り違えるな」とよく言われる。だが1937年の心理学は、手段がそれ自体の目的に変わる過程を職人気質や生涯の関心が育つ道筋として描き、1940年の社会学は官僚制の硬直として描いた。クラッカーを食べると強くなる、という絵本を聞かされた幼児は平均3.1枚、何も聞かなかった子は9.07枚食べた。

夢中を探すなら休日、と考えがちだ。だが1989年に発表された、シカゴの働く人にポケベルを持たせた調査では、挑戦も技能もふだんより高い時間の割合が、仕事中は54%、余暇中は17%だった。直接測り直しても向きは変わらなかった。それでも1989年の調査の参加者は、仕事中に別のことをしたがっていた。