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植木鉢は、ただの容器ではない
長方形の直線、ブリキの経年変化、陶器の重み。プランターの素材と形が、暮らしにどんな違いをもたらすかを考えてみる。
プランターを選ぶとき、たいてい先に目が行くのは形と色で、素材や排水のことは後回しになりがちだ。実際に使ってみると、あとになって効いてくるのはむしろそちらの方だったりする。
直線という選択
ベランダの隅や壁際に置くなら、長方形のプランターは面積を無駄なく使える。丸い鉢を並べたときに生まれるあの隙間が、ただの視覚的なノイズになっていたのだと、置き換えてみて初めて気づくこともある。
素材が決めるもの
ブリキは軽く、値段も手頃だが、屋外に置けば錆びる。これを欠点と見るか、経年変化として楽しめるかで、向き不向きが分かれる。錆をそのまま受け入れる前提なら、悪くない相棒になる。
陶器は重い。持ち上げるたびにその重さを実感するが、雨風に強く、割れない限りはほぼ半永久的に使える。室内に置けば、プラスチックにはない質感が空間に加わる。
不織布のプランターは見た目の主張が少ない代わりに、通気性が高い。壁面から空気が入るぶん、根が鉢の中でぐるぐる回ってしまう「ルーピング」が起きにくく、移動も、使わないときに畳むのも楽になる。
垂直に使う
床が埋まったら、上に逃げる手もある。天井やフェンスから吊るすハンギングプランターは、床に置かないぶん風通しがよく、病害虫の発生も抑えられる。つる性の植物をトレリスに這わせれば、フェンスを立てずに視線を遮ることもできる。生きた緑で仕切るという選択には、それなりの実用性がある。
見落としがちな点
選ぶときに確認しておきたいのは、排水穴の有無とサイズだ。室内用の「プランターカバー」として売られているものには、穴が空いていないことがある。木製のプランターに直接土を入れるなら、内側の防腐処理か、プラスチックのライナーの有無を見ておくと、あとで困りにくい。土と水を含んだプランターは思っている以上に重くなるので、置き場所の耐荷重や、動かす頻度も一応考えておいた方がいい。
メンテナンスという時間
ブリキなら底の錆を、木製なら塗装の剥げを、時々見ておく。この手入れの時間は、植物に水をやる時間とそう変わらない。道具を長く使うというのは、結局そういう地味な繰り返しの積み重ねでしかない。
プランターは、植物を守るための境目に過ぎない。主役はあくまで中の植物で、鉢はその条件を整える道具の一つでしかない。ただ、その道具をどう選ぶかには、案外その人の暮らし方が透けて見える。
