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捨ててしまう前に。古いものから生まれるアップサイクルの手仕事

捨ててしまう前に。古いものから生まれるアップサイクルの手仕事

スチール缶の94.4%は資源に戻る。それでも瓶や缶を鉢にする意味はどこにあるのか。アップサイクルの環境効果と、4つの工作の落とし穴を、統計と研究で確かめた。

TOMOAKI··趣味

日常は、多くの「モノ」に囲まれている。便利な使い捨ての道具、役割を終えた容器、クローゼットの奥で眠る古い布。それらをゴミとして手放すのは簡単だが、少し手を加えてみる、という選択肢もある。

ここで紹介したいのは、単なる節約やゴミ削減のためのリサイクルというより、素材に新たな役割を与える「アップサイクル」という考え方だ。元の製品よりも今の暮らしに合う形に作り変えてみる、というだけの話でもある。


アップサイクルという選択

「リサイクル」という言葉には、どこか義務的な印象があるかもしれない。ここで扱う「アップサイクル(Upcycling)」は、元の製品よりも価値を高め、今の暮らしにフィットする形へ作り変えるという考え方に近い。

例えば、使い切ったジャムの瓶が、明るい場所で光を透かす水耕栽培の器になる。色褪せたリネンのシャツが、鉢植えを吊るすハンギングバスケットに変わる。

「作る」というプロセスには、それ自体に一定の集中を要する時間がある。完成した作品は、既製品とは違う手触りを持って部屋の片隅に収まる。以下、具体的なアイデアを紹介する。


「アップサイクル」は、何を高めているのか

「元の製品よりも価値を高める」という定義は、どこから来たのか。アップサイクルの文献を整理したソン(Sung)が2015年に会議で発表した論文は、アップサイクルを、使用済みの素材が、第二の生で、より高い価値や品質のものに変換される過程だと説明している。語の出どころとして挙げられているのは、ライナー・ピルツ(Reiner Pilz)の発言で、「リサイクルはダウンサイクルだ。レンガを砕き、何もかも砕く。必要なのはアップサイクルだ。古い製品に与える価値を減らさず、むしろ増やす」という趣旨だ(1994年の雑誌『サルボ』の記事で、ソンの参照文献に挙がっている)。ソンは、これとは別の起点として、ブラウンガートとマクドナーの『ゆりかごからゆりかごへ』(Cradle to Cradle、2002年)を挙げている。

この定義が決めていないことがある。「価値」を何で測るのか、である。品質なのか、金額なのか、愛着なのか。ソンが調べた書籍120冊のうち、53パーセントが「手芸・趣味」の分類だった。定義を明示した文献は55件中30件にとどまる。そして、環境への効果についての記述は、多くは「一般的・記述的で、具体的・定量的ではない」と、ソン自身が書いている。新しい材料や、毒性や、エネルギーまで足し込んだときに、すべてのアップサイクルが、ほかの廃棄物の処理より優れていると言えるのか、というのが、論文自身の問いだった。

定量的な比較が、まったくないわけではない。ルクセンブルクの研究者たちが2026年に発表した比較(Roderich ら、抄録による)は、廃棄された制服から作った三つの製品(フリースの上着から湯たんぽカバー、ズボンからノートパソコンのスリーブ、高視認性ジャケットから自転車用のバッグ)を、新品の同じ機能の製品と、16の指標で比べた。指標の平均では、新品より環境への影響が87パーセント小さかった。ところが、寿命が半分になると、その優位は74パーセントに、寿命が80パーセント短いと35パーセントに縮んだ。寿命が80パーセント短い場合には、最もエネルギーを使うノートパソコンのスリーブは、指標の平均で新品を上回った(環境影響が新品より大きくなった)。つまり、作り替えたものが棚の奥で眠れば、環境上の優位は目減りする。環境影響を左右した主な要因は、電力と、収集拠点からの輸送だった。この比較の相手は新品で、リサイクルではない。ソンの論文は、他の文献の紹介として、家庭で行えば輸送を避けられるので、産業としてのアップサイクルより環境によい場合がある、とも書いている。これはソン自身の測定ではない。家庭の手作りの瓶や缶や布や新聞の鉢を、リサイクルに出すことと比べたライフサイクル評価は、今回の調査では見つからなかった。

捨てれば、無駄になるのか

「捨てる前に」という言い方は、捨てれば無駄になる、という前提に立っている。この前提は、数字の側から確かめられる。

スチール缶のリサイクル率は、2024年度で94.4パーセントだった(消費重量292,822トンに対し、再資源化重量276,396トン。スチール缶リサイクル協会)。回収された缶は鉄スクラップとして製鉄原料になる。ガラスびんは、ガラスびん3R促進協議会の2023年度の報告で、リサイクル率が75.0パーセントだった。一方、ガラスびんに戻る割合(びん to びん率)は76.9パーセントで、2019年の80.7パーセントから下がっている。割れて色分けできず、びんの原料に向かない「その他の色」が増えたためだと、報告書自身が推定している(その他の色の構成比は、2015年の26.8パーセントから、2022年の29.9パーセントへ)。ガラスびん用途向けのリサイクル率は、57.7パーセントにとどまる。カレット(割ったガラスびんの再生原料)の利用率は74.1パーセントで、目標の76パーセントに届いていない(カレット使用量981千トンを、原材料の総投入量1,324千トンで割ったもの)。この式は過去の年度の式と同じとは限らないので、昔の数字とは並べない。

古紙は、古紙再生促進センターによると、2025年の回収率(古紙の回収量を紙・板紙の消費量で割ったもの)が81.3パーセント、利用率が66.7パーセントだった。品種別では、新聞古紙の回収率が131パーセントと、100パーセントを超えている。回収率の分母が消費量なので、折込チラシが34パーセントほど混じっていると見られ、新聞だけにすると約87パーセントになる。回収された新聞古紙は、主に新聞用紙などに再生され、製紙原料以外の用途に回る古紙は、全体の約1パーセントだ。回収率には限界もあり、トイレットペーパーなど、再資源化できない衛生用紙が分母に入るため、上限は約83パーセント程度という試算がある。

缶も瓶も新聞紙も、すでに高い割合で再資源化される受け皿がある。捨てれば無駄になる、とは言えない。かといって、「だから鉢にするのは損だ」とも言えない。比べた研究が見当たらないからだ。この記事の4つの工作は、リサイクルに勝つためのものではなく、環境上の優劣が決まっていないところで、作ることの楽しみや愛着を選ぶものだ、と言うほうが正確だろう。

1. 空き瓶で水耕栽培

空き瓶を使った水耕栽培

キッチンで使い終わったジャムや調味料のガラス瓶。ラベルを剥がしてみると、意外と美しい造形や気泡の入った表情に気づくことがある。

素材について

ガラスは光を透過し、反射させる素材だ。水を入れた瓶は、レンズのように光を曲げ、一点に集めることもある。一方で瓶は中が透けるので、根の様子を見られる水耕栽培に使うことができる。

作り方

  1. 洗浄: 瓶をよく洗い、中身の残りやラベルの糊を落としておく。煮沸しても、植物を挿して水道水を張れば水は無菌ではなくなる。効くのは、その後に水をこまめに替えることのほうだ。
  2. テクスチャの追加: 瓶の口元に細い麻紐を数重に巻くだけで、印象が変わる。
  3. スタイリング: 瓶の中にビー玉や清潔なハイドロボールを少量入れる。根を支えつつ、光の反射も加わる。

植物の選び方

この器には、生命力の強いアイビーやポトスが合う。水の中で白い根が伸びていく様子は、小さな水中庭園のように見える。

この二つには、毒性がある。日本中毒情報センターは、観葉植物のうち、サトイモ科(ポトスなど)には有毒なものが多く、誤飲の例も少なくないとして、子どもの手の届く所に置かないよう注意を促している。ASPCA(米国動物虐待防止協会)の記載では、ポトスは犬と猫にも有毒で、毒性の成分は不溶性のシュウ酸カルシウムだ。アイビーも犬と猫に有毒だが、成分はシュウ酸ではなくサポニンで、症状は嘔吐、腹痛、よだれ、下痢とされる。同じ仕組みの毒ではない。

異なる高さや形の瓶を3つほど並べ、窓辺に置いてみると、光の入り方で印象が変わって面白い。もっとも、水を入れた透明な器は日差しを一点に集めることがある。消費者庁は「収れん火災」の注意喚起で、花瓶や金魚鉢のような透明なものを日の差し込む窓際に置かないよう呼びかけている。置くなら直射日光の届かない明るい場所にし、周りに紙や布を置かない。水は濁る前に替える。アイオワ州立大学エクステンションの資料は、挿し穂を水で発根させる間、週に1〜2回の交換を勧めている。水のたまる容器は、蚊の発生源にもなる。東京都の保健所の資料によれば、ヒトスジシマカは条件がよいと約12日で卵から成虫になり、成虫の寿命は30〜40日、活動範囲は半径100〜150メートルほどで、世田谷区は、空き缶や空きびんや植木鉢の受け皿など、水のたまる容器の水を、週に1回程度なくすよう案内している。東京都の資料が示す対策は、カバーをかける、水を捨てる、片付ける、の三つだ。水耕栽培の瓶を名指しした公的な資料は、探した範囲では見当たらない。水を週に1〜2回替えることは、根のためにも、蚊のためにも、同じ向きの習慣になる。


2. 空き缶をアンティーク調の鉢に

トマト缶やサバ缶など、スチール製の空き缶は丈夫で加工しやすく、DIYの定番素材だ。そのままでは生活感が出やすいので、あえて「経年変化」を演出するリメイクを試してみる。

素材について

スチール缶の素地は鉄で、時間の経過とともに錆び、質感が変化していく。その質感は、多肉植物の葉の質感と意外と相性が良い。

作り方

  1. 安全処理: 作業は厚手の手袋をはめて行う。缶の切り口で手を切らないよう、ペンチで内側に倒すか、やすりで滑らかにする。底には水はけのための穴を釘とハンマーで数カ所開けておく。穴の縁にもめくれた返りが出るので、同じように潰しておく。缶の切り口の危険は、日常の缶でも変わらない。東京都消費生活総合センターの事故防止テストは、プルトップ式の缶詰を開けるときの事故を扱ったもので、空き缶の加工の報告ではないが、開けにくくて力を入れたら一気に開き、缶を押さえていた手を数針縫う怪我の相談が、毎年あると書いている。
  2. ペイントの重なり: 下地にプライマーを塗り、その上からアクリル絵の具を重ねる。スプレー式のプライマーは、製品の注意表示に従い、屋外や換気のよい場所で火の気から離して吹く。製品評価技術基盤機構(NITE)の2018年の発表では、2013年度から2018年度11月までに事故報告のあったスプレー缶の火災・破裂は27件で、重傷が3人、軽傷が12人だった。ガスの多くは可燃性で、使用中や使用後の換気が終わるまで、火花の出る機器(ガスこんろ、換気扇、掃除機)を使わないよう案内されている。これはスプレー缶一般の資料で、プライマー専用の表示ではない。一度に綺麗に塗るより、スポンジで叩くように色を置く方がうまくいく。
  3. エイジング加工: 茶色や黒の絵の具を少量、縁や底にこすりつける。それだけで使い込んだような質感が出る。

植物の選び方

この鉢には、エケベリアやセダムといった多肉植物が合う。乾燥に強く、小さな金属の器の中でも育ちやすい。多肉植物でも、毒性は種によって違う。ASPCAの記載では、エケベリア(Echeveria elegans)とバロテイル(Sedum morganianum)は犬と猫に無毒だが、カランコエは有毒だ。「多肉だから安全」とは言えず、セダム属全体が無毒だとも書けない。食用のハーブを缶で育てる場合は、別の注意がある。食品缶の内側には樹脂の塗装があることが多く、錆びた缶は食用の植物に向かない、と園芸の解説は述べる。これは二次情報で、缶用の塗料やアクリル絵の具が食用ハーブに影響するかを調べた研究は、見当たらない。木箱や古いレンガの上にいくつか並べると、質感の対比が面白い空間になる。


3. 端切れで作るプラントハンガー

お気に入りだったけれど着られなくなった服、使い古したリネンのキッチンクロス。捨てられないが使い道もない布に、別の役割を与えてみる。

素材について

布は繊維の間に空気を含んでいて、鉢を包むとインテリアに柔らかさが加わる。

作り方

  1. 裁断: 布を細長く、リボン状にカットする。切り口がほつれていてもそのまま使える。
  2. 編み込み: 3本の布束を三つ編みにする。マクラメ編みで結び目を作るだけでも形になる。
  3. 器を包む: 編み上げた布で、鉢を包み込むように固定する。

植物の選び方

ハンギングには、垂れ下がる姿が特徴のディスキディアやシュガーバインが合う。視線を高い位置に誘導できる。

ディスキディアについては、ノースカロライナ州立大学の植物事典のページに、毒性は低いと分類される一方で、樹液を飲み込むと有毒の可能性があり、皮膚炎を起こすことがある、とある(ASPCAの犬・猫の一覧には載っていなかった)。手の届く高さに吊るすなら、関わってくる点だ。

カーテンレールやライティングレールから吊るす際は、布の色味を部屋のトーンに合わせると馴染みやすい。水を含んだ鉢は思いのほか重いので、レールやフックの耐荷重は先に確かめておく。照明用のレールには電気が通っているため、水やりは下ろしてからにする。


4. 新聞紙で作る育苗ポット

最後に、いつかは土に還ることを前提とした「新聞紙のポット」を紹介する。

素材について

新聞紙は、役割を終えた後に土へ戻ることができる素材だ。種から植物を育てる際、プラスチックのポットの代わりに使えば、ポットを買い足さずに済む。

作り方

  1. 形を作る: 新聞紙を数枚重ねて帯状に切り、空き瓶などに巻きつけて筒状にする。
  2. 底を閉じる: 下の部分を折り込み、底を作る。糊は使わず、折り目だけで固定する。
  3. 土を入れる: ポットの中に種まき用の土を入れ、種を蒔く。

植物の選び方

ハーブや野菜の種を蒔き、芽が出るのを待つ。苗が大きく育ったら、ポットのまま鉢や庭の土に植え替えられる。ここで気をつけたいのは、紙の縁の扱いだ。同じ植物性のピートポットについて、ペンシルベニア州立大学エクステンションは、土から出た縁が芯のように水を吸い上げて乾きやすいので、土から出た部分をちぎり、底も取り除くよう勧めている。新聞紙のポットでも同じことが起きうる。紙はやがて分解されるが、植えた直後から根の邪魔にならないわけではない。公的な作り方の資料にも、紙の容器の限界が書かれている。メイン大学エクステンションの資料は、新聞紙で作るポットの底は苗が育つ間に分解し、缶に巻いて作る丸いポットの底は苗を移植できる大きさになる前に崩れるので、防水のトレイに載せるよう書いている。紙でできたバイオコンテナの実測は、Li らの2015年の研究(紙パルプ製の容器2種をプラスチック鉢と比較、リバーバーチ(Betula nigra)の苗木、米国4地点、2年、抄録による)がある。容器は1年目の終わりには形を保ち、2年目の終わりに根が貫通した。1年までの生産ならプラスチック鉢の代わりになるが、それより長いと向かない(苗木を容器のまま育てる場合に、根が容器を突き抜けることが欠点とされるため。土に植え込む育苗ポットでは、根が紙を抜けることは、むしろ望ましい)。対象は苗木で、新聞紙のポットの実測は、探した範囲では見当たらない。新聞のインクについては、新聞紙は園芸に使えると結論する園芸コラムがあるが、これは二次情報で、一次の安全評価は見当たらない。食用のハーブや野菜の育苗に使うなら、断定は避けておく。


4つの工作を、寿命の側から見る

先ほどの比較では、環境影響の主な要因は、作るときの電力と、収集拠点からの輸送だった。それと並んで、寿命が短くなると優位が縮むことも示された。この見方で、ここに挙げた4つの工作を並べ直してみる(以下は私の整理で、実測ではない)。

空き瓶の水耕栽培は、水を替え続ける限り使い続けられる、寿命の長い使い方だ。世話が途切れた日が、使われなくなる日になる。空き缶の鉢は、錆びていくことを前提に、時間とともに質感が変わる器として作る。屋外や湿った場所では、缶の寿命は素材の側で決まる。布のプラントハンガーは、鉢の重さを支え続ける必要があり、結び目や布の耐荷重が、寿命を決める。新聞紙のポットは、苗を土へ移すまでの数週間から数か月で役目を終える、寿命の短い設計だ。短いこと自体は欠点ではない。もとが新聞の古紙で、回収率の高い素材であることを考えると、使い捨ての前提のほうが、素材の側の事情に合っている、という見方もできる。

どの工作も、完成して、使われて、世話をされて、はじめて「アップサイクル」になる。研究が示すのは、使われる期間が短くなるほど、新品に対する優位が縮む、ということまでだ。

作ることは、環境にやさしいふるまいを増やすのか

作ったものには愛着が湧きやすい。その裏づけとしてよく引かれるのが、ノートン、モコン、アリエリーが2012年に発表した「IKEA効果」の研究だ。自分で組み立てたものや折ったものに、人は高い値をつける。この効果は完成させたときに限られ、作りかけで止めたものや、作って壊したものには出ない。作ることが愛着を生むのではなく、作り終えることが愛着を生む。DIYの初心者でも効く、という結果もある。

では、作ることは、ほかの環境配慮の行動を増やすのか、減らすのか。手作りに限った実証は、探した範囲では見当たらない。関連する研究は二つの方向に割れている。マザーとチョンが2010年に発表した研究は、緑色の製品を「買った」あとの人は、利他的でなくなり、ごまかしや盗みが増えた、と報告した。善いことをした気持ちが、あとの行動を緩ませるという主張だ(モラル・ライセンシング)。ところが、Urban らが2019年に、3つの追試を合わせて1,274人(215人、686人、373人)で調べ直した研究は、緑の消費によるごまかしの増加を、どの実験でも確認できなかった。ライセンシング全般を扱った91の研究のメタ分析(Blanken ら、2015年、抄録による)は、効果量d=0.31という小さな効果を報告していて、出版された研究のほうが未出版の研究より効果が大きかった。

リサイクル箱を置くと、紙の使用量が増えた、という実験もある(Catlin と Wang、2013年)。はさみの評価課題でも、トイレの紙タオルでも、リサイクルの選択肢があると、使用量が増えた。罪悪感が軽くなったためだ、という説明は、著者の一人が業界紙で語ったもので、二次情報になる。解釈であって、作ったあとに他が緩む、という話の証明にはならない。ライセンシングは、報告も多いが、再現も割れている。「作ったから、もう十分だ」と思ってしまうかどうかは、研究からは、まだ言えない。

共通する姿勢

これらのDIYに共通しているのは、自分で素材を選び、手を動かし、試行錯誤して作ったものには、既製品にはない愛着が湧きやすい、ということだ。100円ショップに行けば、綺麗な鉢はいくらでも手に入る。それでも、作る過程自体に一定の意味がある、という考え方もできる。

失敗も含めて

ペイントが剥げたり、編み目が不揃いになったりしても、それ自体が個性になる。完璧を目指す必要はない。


身の回りのものを資源として見る

リサイクルDIYを通じて得られるのは、新しいインテリア小物というより、身の回りにあるものを「資源」として捉え直す視点かもしれない。

「これは何かに使えないだろうか」「この植物を、あの空き瓶に飾ってみたらどうだろう」。そんな小さな思いつきの積み重ねが、日常を少し違って見せてくれることがある。

ここまでに並べた数字を、もう一度ひとまとめにしておく。缶の再資源化率は94.4パーセント、びんは75.0パーセント(びんに戻るのは57.7パーセント)、新聞の回収率は新聞だけにして約87パーセントだ。種類の違う数字だが、どれにも受け皿がある。制服から作った三つの小物を調べた研究(1本)では、新品との比較で環境影響が小さかったが、寿命が短くなれば優位は縮んだ。ポトスもアイビーも、子どもやペットのいる部屋では注意が要る。水を張った容器は、水を替えないと、蚊の発生源になりうる。そして、作ったことで他の行動が緩むのかどうかは、研究が割れている。

どれも、手を動かす楽しみを否定する数字ではない。それでも、「環境にやさしいから」という理由は、この4つの工作を支える柱としては、思っていたよりずっと細い。残るのは、作る手間そのものを楽しいと感じるかどうか、そして、完成させるところまで続けられるかどうかである。

出典

  • 消費者庁「鏡やガラス玉で起こる「収れん火災」に注意!-日差しが部屋の奥まで届く冬場に発生しています-」2020年11月26日。https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_043/
  • 東京消防庁「メイク用ミラーの取扱いに注意を!! ~思わぬ場所・物から収れん火災が発生します~」(報道発表資料、2019年)。https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/content/000027036.pdf
  • Aaron Steil, “How to Propagate Houseplants by Stem Tip Cuttings,” Iowa State University Extension and Outreach, 2025年1月。https://yardandgarden.extension.iastate.edu/how-to/how-propagate-houseplants-stem-tip-cuttings
  • Deborah J. Benoit, “More, Please: Propagating Houseplants,” University of Vermont Extension, 2022年12月7日。https://www.uvm.edu/news/extension/more-please-propagating-houseplants
  • Jim Sellmer, Phyllis Lamont, “Transplanting Annuals into the Garden,” Penn State Extension, 2026年3月30日更新(ピートポットについての記述)。https://extension.psu.edu/transplanting-annuals-into-the-garden
  • 日本製鉄「ブリキ」製品情報(2026年10月確認)。https://www.nipponsteel.com/product/sheet/list/tin/01.html
  • 東京都消費生活総合センター「事故防止テスト・シリーズ(14-2) イージーオープン缶は1・2・3で」(2003年)。https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/anzen/test/documents/kandume.pdf
  • North Carolina Extension Gardener Plant Toolbox “Dischidia ovata (Watermelon Dischidia)”(2026年10月確認)。https://plants.ces.ncsu.edu/plants/dischidia-ovata/common-name/watermelon-dischidia/
  • Sung K (2015). A review on upcycling: Current body of literature, knowledge gaps and a way forward. ICECESS 2015(第17回環境・文化・経済・社会の持続可能性国際会議), Venice(全文)
  • Kay T, Reiner Pilz, Salvo, pp. 11-14, 1994年10月11日(Sung 2015 の参照文献[3]による。原文は未確認)
  • Braungart M, McDonough W (2002). Cradle to Cradle: Remaking the Way We Make Things(日本語題は『ゆりかごからゆりかごへ』。Sung 2015 が引く箇所による)
  • Roderich ほか (2026). The environmental performance of upcycling: A comparative life cycle assessment in the apparel industry. Next Sustainability, 7, 100345(抄録)
  • スチール缶リサイクル協会, スチール缶のリサイクル率(2024年度)のページ/3R推進団体連絡会, 容器包装3R推進のための自主行動計画2025 2023年度フォローアップ報告のうちガラスびん3R促進協議会の章(2024年12月。本文)/古紙再生促進センター, 日本の紙リサイクル(2026年4月版)と「数字で見る古紙再生」(本文)
  • 日本中毒情報センター, 観葉植物の誤飲についての注意のページ/ASPCA, 有毒・無毒な植物の一覧(ポトス、アイビー、エケベリア、バロテイル、カランコエの各ページ)
  • 東京都多摩立川保健所, 健康だより 2022 vol.1(ヒトスジシマカ)/世田谷区, 蚊の発生を防ぐための啓発資料
  • 製品評価技術基盤機構(NITE), スプレー缶の事故に関するニュースリリース, 2018年12月26日(PDF全文)
  • University of Maine Cooperative Extension, Bulletin #2763, Container Gardening Series: Garden Equipment and Items to Make for the Maine Garden(新聞紙のポットの作り方)
  • Li ほか (2015). 紙パルプ製のバイオコンテナとプラスチック鉢の比較(リバーバーチ(Betula nigra)、米国4地点、2年). HortTechnology, 25(1), 57-62(抄録)
  • Norton MI, Mochon D, Ariely D (2012). The "IKEA effect": When labor leads to love. Journal of Consumer Psychology, 22(3), 453-460(抄録)
  • Mazar N, Zhong C-B (2010). Do green products make us better people? Psychological Science, 21(4), 494-498(再現研究の記述と抄録)
  • Urban J, Bahník Š, Braun Kohlová M (2019). Green consumption does not make people cheat: Three attempts to replicate moral licensing effect due to pro-environmental behavior. Journal of Environmental Psychology, 63, 139-147(全文)
  • Blanken I, van de Ven N, Zeelenberg M (2015). A meta-analytic review of moral licensing. Personality and Social Psychology Bulletin, 41(4), 540-558(抄録)
  • Catlin JR, Wang Y (2013). Recycling gone bad: When the option to recycle increases resource consumption. Journal of Consumer Psychology, 23(1), 122-127(抄録による)
  • (二次情報)Editorial Staff, Recycling seen as “get out of jail free card”, Recycling International, 2012年7月23日(Catlin の発言として罪悪感による説明が出てくる)。https://recyclinginternational.com/?p=6769
  • (二次情報)食品缶の内面の樹脂塗装と錆びた缶の扱いについての園芸の解説/新聞紙は園芸に使えるとする園芸コラム(Umbra on composting paper, Grist, 2004年2月13日。https://grist.org/article/umbra-papercompost/)。いずれも一次の安全評価ではない
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