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1か月に読む本の冊数と、自分の位置

令和5年度の調査で、16歳以上のうち1か月に本を1冊以上読む人は36.9%

1か月に1冊も読まない人が62.6%(残り0.5%は無回答)。読む人の内訳は、1、2冊が27.6%、3冊以上が9.3%(7冊以上の1.8%を含む)。文化庁の国語に関する世論調査(3,559人)で、電子書籍を含み、雑誌と漫画は除いた冊数。

平均の冊数は公表されていない(区分のいちばん少ない冊数で数えた下限は月0.66冊)。仕事をしている人に限っても、読まない人は63.3%で、全体とほとんど変わらない。読まない人の割合は、面接で聞いていた平成30年度までは47.3%前後だったが、郵送で聞いた令和5年度に62.6%になった(調査が郵送に変わったのは令和2年度で、この設問はその後、令和5年度に初めて聞かれた)。方法が違うので、そのまま増えたとは言えない。

自分の冊数と比べる ↓読まない人は増えたのか ↓

年代と男女で比べる

1か月に読む本の冊数の割合(令和5年度、男女計、年代別)
年代読まない1、2冊3冊以上回答者
16〜19歳66.3%22.9%10.8%83人*
20代65.1%26.0%8.9%258人
30代65.0%27.4%7.6%380人
40代61.5%29.6%8.7%577人
50代62.7%28.6%8.3%632人
60代60.1%30.0%9.6%656人
70歳以上63.0%24.9%10.7%973人
16歳以上62.6%27.6%9.3%3,559人

文化庁の公表値(令和5年度)。3冊以上は、3、4冊・5、6冊・7冊以上の公表値を足したもの。割合の分母には無回答を含む。*は回答者が100人未満で、数人の答えで割合が大きく動く組。

自分の読書量は、同じ年代の中でどのあたりか

性別と年代、1か月に読む本の冊数を入れると、同じ組の100人を冊数の少ない順に並べたとき、何番目から何番目のあたりにいるかを示します。統計は冊数を5つの区分でしか数えていないので、1つの順位ではなく幅で出します。多いか少ないかの良し悪しは、言いません。

入力1か月に、大体何冊くらい本を読んでいますか

調査と同じ数え方で、電子書籍は含み、雑誌と漫画は除きます。

性別

年代

冊いまは例の値

0冊は「読まない」。7冊以上は、統計では1つの区分にまとまります。

結果

例:月に2冊の場合。16歳以上の100人を、読む冊数の少ない順に並べると

64〜91番目のどこか

番号が大きいほど、多く読んでいる側です。同じ「1、2冊」の人が27.6%いて、統計はその中の順番を数えていません。

  • 読まない62.6%
  • 1、2冊例27.6%
  • 3、4冊6.0%
  • 5、6冊1.5%
  • 7冊以上1.8%

割合は文化庁の公表値(令和5年度、回答者3,559人。無回答0.5%を含む分母)。棒の長さは、いちばん多い区分を最大にそろえた。何番目かは、無回答を除いた回答者数から計算した。

例として、月に2冊は、16歳以上の100人中64〜91番目のどこか

「本を読まない人が増えた」は本当か

先に答えを書くと、この統計だけでは「増えた」とも「増えていない」とも決められない。令和5年度の結果の概要で、この設問の見出しは「『読まない』が6割台」だった。数字そのものは集計表のとおりだ。ただ、同じ設問の過去の結果と並べると、増え方には妙な形がある。

「1か月に本を読まない」と答えた人の割合の推移(平成20・25・30年度は面接、令和5年度は郵送)
調査方法読まない1冊以上回答者
平成20年度
2009年3月
面接46.1%53.4%1,954人
平成25年度
2014年3月
面接47.5%52.4%2,028人
平成30年度
2019年3月
面接47.3%52.6%1,960人
令和5年度
2024年1〜3月
郵送62.6%36.9%3,559人

1冊以上は、1、2冊から7冊以上までの公表値を足したもの。残りは「分からない」(面接の年度)か「無回答」(令和5年度)。令和5年度の上のインクの罫は、調査方法が変わった境目。平成20年度の問いには「電子書籍を含みます」の文言がない。

面接で聞いていた平成20年度から30年度までの10年間、「読まない」は46.1%、47.5%、47.3%と、ほとんど動いていない。スマートフォンが普及していった時期に重なるのに、である。それが令和5年度に、いきなり62.6%へ跳ぶ。

この間に、調査の方法が変わっている。令和元年度までは、調査員が質問を読み上げ、答えを口で聞いていた。新型コロナウイルスの流行を受けて、令和2年度からは調査票を郵送し、本人が読んで書き込む形になった。文化庁は報告書で、令和元年度以前の結果は「参考値」で、比較には注意が必要だと書いている。

人に向かって「本は読みません」と言うのと、紙に一人で丸を付けるのとでは、答えやすさが違うかもしれない。回答する人の顔ぶれも、面接と郵送では変わりうる。一方で、平成30年度から令和5年度までの5年のあいだに、実際に読む人が減った可能性もある。この統計には、同じ年に両方の方法で聞いた比較が見当たらないので、15ポイントのうちどこまでが方法の違いで、どこまでが本当の変化なのかは分けられない。言えるのは、「増えた」とも「増えていない」とも、この表だけでは決められない、ということだ。

年代で見ると、形が変わる

「読まない」と答えた人の割合の推移、年代別(平成20・25・30年度は面接、令和5年度は郵送)
年代平成20平成25平成30令和5
16〜19歳*47.2%42.7%40.7%66.3%
20代38.0%40.5%46.6%65.1%
30代42.4%45.5%48.1%65.0%
40代38.9%40.7%45.4%61.5%
50代38.8%44.3%41.6%62.7%
60歳以上55.5%53.8%50.1%61.8%

「読まない」と答えた人の割合(公表値)。令和5の左のインクの縦罫は、面接から郵送に変わった境目。平成20年度は年代の区分が60歳以上でまとまっているので、ほかの年度もそれにそろえた。*の16〜19歳は、どの年度も回答者が100人に満たない(平成20年度から順に72人、82人、59人、83人)ので、数ポイントから10ポイントほどの差は誤差の内。

平成20年度には、60歳以上だけが目立って読まない側にいた。20代から50代はどの年代も4割前後で、20代は38.0%、60歳以上は55.5%。20代と60歳以上の差は、面接で聞いていた年度のうちに縮み始めていて、平成30年度には20代46.6%、60歳以上50.1%になっている(20代の回答者は100人余りなので、誤差は大きい)。令和5年度には、20代が65.1%、60歳以上が61.8%で、差はほとんど消えた。平成20年度と比べると、60歳以上は6.3ポイントの上昇にとどまるが、20代から50代はどの年代も22ポイント以上上がっている。

平成30年度から令和5年度への跳ね方が年代で違うのは、方法の変更が年代によって違う効き方をしたからか、若い人の読書が実際に減ったからか、表からは区別できない。ただ、「最近の若者は本を読まない」という言い方は、20代から50代が60歳以上より読んでいた平成20年度の数字とは、逆を向いていた。

分布を見て、意外だったこと

一つ目は、「減った」という実感の安定ぶりだ。同じ調査は毎回「あなたの読書量は、以前に比べて減っていますか」とも聞いている。「減っている」と答えた人は、平成20年度が64.6%、25年度が65.1%、30年度が67.3%。3人に2人が毎回「減った」と答えているのに、同じ方法で聞いた「読まない」の割合は、その10年で動いていない。自分の読書量が昔より減ったと感じるのは、時代の変化というより、人が自分の過去を振り返るときの癖なのかもしれない。学生の頃と比べて減ったと感じる人が多いのかもしれない。

二つ目は、本を読まない人が、文字を読んでいないわけではないことだ。令和5年度に「読まない」と答えた人に、SNS やネットの記事を含む本以外の文字を読むかを聞くと、「ほぼ毎日ある」が75.3%、「ほとんどない」は10.4%だった。本を読まないことと、文字を読まないことは、ほとんどの人にとって別のことらしい。もっとも、何を読んでいるかまでは聞いていない。

三つ目は、男女の差の消え方だ。令和5年度の「読まない」は、男性62.4%、女性62.7%で、ほとんど同じ。ところが面接で聞いた平成30年度は、男性42.5%、女性51.4%で、女性のほうが読まない人が多かった。この差が5年で消えたのか、方法の変更で見え方が変わったのかも、表からは分けられない。一方、趣味としての読書では、ほとんどの年代で女性が男性を上回る(趣味としての読書の人口)。「趣味として読んだか」と「月に何冊読むか」では、男女の並び方が同じにはならない。

この数字が数えているもの

問いは「あなたは現在、1か月に大体何冊くらい本を読んでいますか」。電子書籍は含み、雑誌と漫画は除く。何冊かは本人の申告で、読み終えた本だけを数えるのか、途中まで読んだ本も入れるのかは、問いに書かれていない。分厚い専門書1冊と、短い新書5冊は、区分の上では5倍違う。

対象は全国の16歳以上。令和5年度は2024年1月16日から3月13日に、無作為に選んだ6,000人に調査票を郵送し、3,559人(59.3%)から回答を得た。このうち石川県全域と新潟市の対象者100人には、能登半島地震の影響で調査票を送っていない。回答しなかった4割の人が、回答した人と同じように本を読んでいるかは分からない。

平均の冊数は公表されておらず、区分の上の端(7冊以上)が開いているので、表から正確に計算することもできない。

位置が分かっても、決まらないこと

冊数は、読書の量の一つの測り方にすぎない。1冊を3か月かけて読む人も、週に2冊を流し読みする人も、この統計では同じ1つの数になる。何を読んだか、読んで何が残ったかは、どこにも数えられていない。

分布は、ほかの人が答えた冊数の記録であって、目標ではない。100人の真ん中より多く読んでいても少なく読んでいても、それだけで分かることはあまりない。

よくある質問

日本人の平均の読書量は、月に何冊ですか?

平均は公表されていません。調査は「読まない」「1、2冊」「3、4冊」「5、6冊」「7冊以上」の5つの区分で聞いていて、最後の区分は上が区切られていないからです。区分のいちばん少ない冊数(0・1・3・5・7冊)で計算すると、16歳以上の平均は月0.66冊になります(無回答を除いた筆者の計算)。これは「少なくともこれだけ」という下限で、実際の平均はこれより多いはずですが、どれだけ多いかは分かりません。読まない人が6割を超え、読む人の多くも1、2冊なので、平均よりも「読まない人が62.6%」のほうが、分布の形をよく表します。

社会人や学生は、どのくらい読んでいますか?

令和5年度の集計表には職業別の列があり、仕事をしている人(集計表の「有職」、2,229人。勤めている人に限らず、農林漁業などの仕事の人も含む区分です)で「読まない」は63.3%、1冊以上は36.5%でした。学生(155人)は「読まない」59.4%です。どちらも全体の62.6%と大きくは違いません。調査の対象は16歳以上なので、小中学生は入っていません。学生の回答者は155人と少なく、高校生と大学生を分けた数字もありません。

電子書籍や漫画、雑誌は数に入りますか?

令和5年度の問いは「電子書籍を含みますが、雑誌や漫画は除きます」です。Kindle などで読んだ本は入り、漫画は紙でも電子でも入りません。平成25年度と30年度も同じ文言ですが、平成20年度の問いには電子書籍の文言がなく、「雑誌や漫画は除きます」だけでした。SNS やネットの記事は「本」に入りません。

趣味の位置の「読書」と、数字が違うのはなぜですか?

問いが違うからです。趣味の位置の数字は、総務省の社会生活基本調査(2021年)で、10歳以上が過去1年間に1回でも「趣味として」本を読んだか(マンガを除く)を聞いたもので、32%でした。仕事や勉強のための読書は入らず、1年に1冊でも「した」になります。このページの数字は、16歳以上に「現在、1か月に大体何冊」と聞いたものです。年齢、期間、読書の目的のどれもそろっていないので、2つを足したり引いたりして比べることはできません。

入力した値は送信されますか?

選んだ性別・年代や冊数そのものは送信しません。計算はすべてブラウザの中で行い、押したボタンの文字や結果もアクセス解析に記録しない設定にしています。ただし、サイト全体で使っている解析ツールは、どのページでも画面上のクリックやマウスの位置を記録することがあり、ボタンを押した位置から、選んだ値のおおよそが分かる場合があります。Xなどで結果を共有した場合は、番目の幅と、選んだ性別・年代、冊数の区分(「3、4冊」など)を含む文が共有先に渡ります。

数字はどのくらい正確ですか?

令和5年度の回答者は3,559人で、無作為に選ばれた6,000人のうち59.3%が郵送で答えています(能登半島地震の影響で、石川県全域と新潟市の対象者100人には調査票を送っていません)。回答者の数をそのまま集計していて、人口の構成に合わせる補正はしていません。単純な無作為抽出とみなして計算すると、全体の「読まない」62.6%の誤差の目安は±1.6ポイントほど、150人ほどの組では±8ポイントほどです。実際の抽出は地域を選んでから人を選ぶ2段階なので、誤差はこれより大きくなります。年代の間の数ポイントの差は、この誤差に収まります。回答者が100人に満たない組(16〜19歳)では、何番目のあたりかを出していません。

出典

文化庁「令和5年度 国語に関する世論調査」集計表 問7「1か月に読む本の冊数」、問7付問1、問8(2024年9月17日公表、文化庁)。同「平成30年度」「平成25年度」の集計表 Q10・Q12、同「平成20年度」の結果の概要。令和2年度からの調査方法の変更は、同「令和2年度」「令和5年度」の報告書・結果の概要の記載による。割合は公表値。何番目の幅、3冊以上・1冊以上の合計、平均の下限、誤差の目安は、公表された集計表をもとに筆者が計算したもの。

趣味としての読書の割合は、総務省統計局「令和3年社会生活基本調査」生活行動に関する結果 第30-1表(2022年8月31日公表)。

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