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引き出し一段で完結する、小さな収集

引き出し一段で完結する、小さな収集

部屋の広さを言い訳に趣味を諦める前に。ルーペ一つで覗く極小の世界について。

TOMOAKI··収集

広い書斎に天井まで届く本棚を置く、というのは多くのコレクターが一度は思い描く夢だと思う。ただ、都市部の部屋でそれをやろうとすると、たいてい途中で挫折する。棚を置く前に、そもそも棚を置く場所がない。

盆栽や根付のように、小さな世界に凝縮させる方向で楽しむやり方もある。引き出し一段、あるいは掌に収まる範囲で完結するコレクションだ。

ルーペを通すと、見えるものが変わる

肉眼ではただの小さな金属片にしか見えないコインも、10倍のルーペを通すと彫刻の鋭さや摩耗の具合が見えてくる。鉱物の内側に走る層構造も、光を横から当てるか背後から透かすかで表情が変わる。安価なプラスチックレンズだと像が歪んで見えることがあるので、収差の少ないレンズを選ぶと違いがわかりやすい。

集めているものはささやかだ。直径2センチのコイン、親指大の鉱石、小さな陶器の盃。場所は取らないが、手に取るたびにその物の来歴を思い出すことになる。古代の硬貨なら、2000年前に誰かが同じものを掌に乗せていたかもしれない、というだけのことだが、それだけで十分だったりする。

秘めておける、という点も気に入っている

大きなコレクションは、飾ることが前提になる。極小のコレクションは、普段は引き出しの中にしまっておける。気が向いたときだけ取り出して、ラベルを添えて並べ直す。学名や産地、手に入れた日付を小さな紙片に書き添えるだけの作業だが、これをやっていると、ただ集めているだけの状態から、少し整理された記録に近づいていく気がする。

資産としての合理性も、まったくないわけではない。同じ金額なら、大きな家具より小さな金貨の方が引っ越しの手間もかからないし、持ち運びも楽だ。ただ、それを本気の資産防衛として勧めるつもりはない。単に、小さくて価値のあるものを選び抜いて持つという行為が、性に合っているというだけの話だ。