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「家のほうが続く」という結論は、1つの試験に支えられていた

「家のほうが続く」という結論は、1つの試験に支えられていた

「家でできる趣味」を探す理由は、摩擦の少なさか、視線のなさか。習慣の研究、社会的促進、運動の継続のメタ分析、日本の統計を原典にたどると、よく語られる説明は、きれいには確かめられなかった。

TOMOAKI··趣味

場所の条件が、中身より先に決まっている

「家でできる趣味」で検索する人の順番は、少し不思議だ。ふつう趣味を探すときは、まず興味の対象があって、どこでやるかは後からついてくる。ところがこの検索語では、場所の条件――家であること――が先に立ち、活動の中身は空欄のままだ。編み物でも模型でも家庭菜園でも、検索結果に並ぶ活動はばらばらなのに、手前にある「家で」という一語だけは共通している。

この一語は、何を指しているのか。よく語られる説明は三つある。家なら、移動や準備や予定調整といった「摩擦」が減るから。家なら、下手なうちを人に見られないから。そして、家には外から与えられる「区切り」がないから、続けにくい面もある、という裏側の話。この記事は、その三つを、実験や調査の数字で確かめ直す。結論を先に言うと、三つとも、きれいな形では確かめられなかった。そのかわり、思っていたものとは少し違う風景が見えた。

習慣の研究が示したのは、「やる気が切れたあと」の話だった

「摩擦のなさ」の説明は、習慣の研究に寄りかかることが多い。よく引かれるのが、ウェンディ・ウッドらの研究だ。2002年にウッドとクインとカシーは、Journal of Personality and Social Psychologyに、日記法の研究を発表した。テキサスA&M大学の学部生が、腕時計のアラームが鳴るたびに、していること、考えていること、感情を記録する。研究1が70人、研究2が209人。「ほぼ毎日、たいてい同じ場所で行う」と答えた行動を習慣と分類すると、全行動のうち、研究1で35%、研究2で43%が習慣だった(延べ6,830件)。

習慣的な行動をしているとき、考えていることが行動と対応していた割合は、研究1が40%、研究2が44%。習慣でない行動では、70%と60%だった。習慣の最中は、行動を導く思考が少ない。ただし、思考がゼロになるわけではない。ここで「同じ場所」は、習慣の定義の一部に入っている。同じ場所だから習慣になる、と示した研究ではなく、同じ場所でほぼ毎日やる行動を習慣と呼び、その間の思考を比べた研究だ。

2005年のウッドとタムとゲレロ・ウィットの研究は、もう少し因果に近い。テキサスA&M大学に転入する学生115人(分析対象。約7割は新しい地域への引っ越しを伴う)に、転入前と転入後に、運動、新聞を読む、テレビを見る、の頻度と意図を答えてもらった。運動は、同じ場所で続けた学生では強い習慣が維持され、場所が変わった学生では維持されなかった。文脈が変わると、習慣の強かった人でも、行動はその時点の意図に従うようになった。習慣の弱い行動は、文脈が変わっても変わらなくても、意図に従った。

ここから分かることは、整理しておく価値がある。安定した文脈が効くのは、すでに習慣になった行動についてだ。習慣になる前の行動は、文脈が安定していても、意図に従う。2016年にウッドとリュンガーが書いたレビュー(Annual Review of Psychology)は、習慣が、目標に動機づけられた反復から形成される、と整理している。やる気は要らない、とは読めない。「環境さえ整えばやる気は要らない」と読むのは、原典より強い。

習慣がどのくらいで形成されるのか、という数字も、よく引かれる。2010年のラリーらは、96人に、新しい行動を一つ選んで毎日続けてもらい、自動性の高まりを84日まで追った。分析できたのは82人で、曲線が当てはまったのは62人、うち良く当てはまったのは39人。自動性が上限の95%に達するまでの日数は、18日から254日まで広がった。観察は84日までで、それ以降は外挿だ。「66日」という数字は、この幅の中の、ある代表値にすぎない。2023年のブヤルスカヤらは、ジム会員30,110人のデータで、習慣形成の中央値を4〜7か月と報告し、魔法の日数はない、と著者らが明言している。

引っ越しの話も、書き直しておく。バス・ヴァープランケンらの2008年の研究は、引っ越した人を追跡した研究だと紹介されることがあるが、原典の設計は違うようだ。大学職員433人(この人数は二次情報による)への、ある一時点の質問紙で、環境への意識が高い人のうち、12か月以内に引っ越した人は、車通勤が少なかった。引っ越した人が手段を切り替えやすい、という言い方とは違う。前後の二時点を比べたのは、さきほどの2005年の研究や、職場の移転を扱った研究のほうだ。

文脈の安定が、行動の持続とどれほど結びつくかを、大きな標本で見た研究もある。2016年のトーマスらは、イギリスの18,053人のデータで、車通勤の予測確率を、現住所に住んだ期間ごとに比べた。1か月で0.54、12か月で0.60、10年で0.64。環境への意識の効果は、住んだ期間が延びるほど薄れていく。引っ越した直後は、通勤手段が決まりきっていない時期があり、そこでは意識や意図が効く。時間が経つと、文脈に引かれる。運動の習慣でも、2015年のカウシャルとローズが、新規のジム会員111人を追い、週4回以上を6週間続けることが、習慣の形成の最低条件だったと報告している。

文脈の一貫性と身体活動の関係を束ねたメタ分析も出ている(2026年のZhuら、14の研究、6,069人)。文脈の一貫性と行動量の相関はr=.11、習慣の強さとの相関はr=.20だった。小さい。しかも、行動量と有意に関連したのは、時間とルーティンの一貫性だけで、場所の一貫性は習慣の強さとは関連したが、行動量とは有意でなかった。

習慣の研究が拾っているのは、始める一歩と、流れの中の位置だ

「始めるまでの障壁」という発想に近いものは、研究の側にもある。2016年のフィリップスとガードナーは、健康な成人123人を調べ、運動を「始める」習慣――行動の最初の一歩が自動的に出ること――だけが、運動の頻度を独自に予測した、と報告した。運動の最中の流れが自動的かどうかは、予測しなかった。2013年のジュダらは、デンタルフロスの50人の研究で、歯磨きの「後」にフロスをした人のほうが、「前」の人より、習慣が強く、8か月後の頻度も高い傾向を報告した。著者自身が、探索的で厳密な設計ではない、と書いている。日々の流れのどこに置くかが効く、という方向の話だ。

場所の合図は、ほかの合図ほど目立たなかった。2016年のピムらは、オーストラリアの成人1,244人を調べ、ルーティンと気分の合図の一貫性が自動性と関連し、時間の合図と、一緒に行う人の合図の一貫性が行動量と関連した、と報告している。場所の合図は、この論文の抄録では目立たない。先に見たウッドらの運動の結果とは、少し違う。家という場所が効くのか、家で行う「流れ」が効くのかは、これらの研究では分からない。

職場の移転を追った研究もある。2015年のウォーカーらは、イギリスの環境団体の職員を、本部の移転の19か月前、移転の1週間後、4週間後に評価した。移転の直後に、通勤の習慣(自動性)は弱まった。手段を変えた人も、変えなかった人も同じだった。古い手段の習慣は、急には消えず、移転後に徐々に薄れ、新しい手段の習慣が並行して育った。環境が変わる、ということと、習慣が入れ替わる、ということの間には、時間差がある。

ラリーらの研究の細部は、二次の解説による。96人が選んだ行動の内訳は、食べる27人、飲む31人、運動34人、その他4人。当てはまりの良かった39人での行動別の中央値は、食べるが65日、飲むが59日、運動が91日で、群間の差は有意ではなかった(p=0.328)。運動が長い方向に並ぶが、差は偶然の範囲だ。手間と準備のある行動が、同じ幅で習慣になるかどうかは、この数字からは言えない。

習慣の測り方にも、注意がいる。習慣の強さは、多くの研究で、自己報告の尺度で測られる。よく使われる12項目の尺度は、自動性、頻度、自己の同一性との関連を混ぜて測っていて、自動性だけの4項目で足りる、という提案もある(2012年のガードナーら)。2012年のニールらの研究は、人が自分の習慣を、目標で説明しがちなことを指摘した。自己報告に頼ると、習慣が目標に結びついている、と誤って結論しうる。ウッドとリュンガーのレビューも、習慣の強さが主に自己報告で測られることを、限界として挙げている。習慣という言葉の数字は、思っているよりも、測り方に左右される。

「家は摩擦を削る」を、直接測った研究は見つからなかった

「家でできる」という条件が、移動、準備、予定調整という挫折の主な原因を先回りして削っている。この説明は、筋が通って聞こえる。直接検証した研究は、私が探した範囲では見つからなかった。ただし、運動の継続で家と教室を比べた試験は、移動という摩擦を除いたときに続くのか、にいちばん近い検証でもある。それは後の節で扱う。近い研究として、1997年のキャロルとアレクサンドリスの調査がある。ギリシャで502人に、運動への参加を妨げる要因を尋ねた。施設やサービス、アクセス、費用の制約は、参加者と非参加者を分けなかった。分けたのは、関心のなさ、心理的な個人要因、知識の不足、時間だった。時間は、予定調整という摩擦に近い。移動や準備ではなく、関心と知識の側にも、差があった。

日本の統計でも、状況は似ている。令和3年の社会生活基本調査によると、過去1年に趣味・娯楽をした人は86.3%で、2016年の87.0%から、ほぼ動いていない。ところが、旅行・行楽は73.5%から49.5%へ、24ポイント下がった。映画館での鑑賞は39.6%から29.8%、カラオケは30.7%から13.5%へ減った。一方で、ゲームは35.8%から42.9%に、音楽鑑賞は49.0%から53.5%に増え、園芸は25.7%から26.0%、料理・菓子作りは17.8%から19.0%と、ほぼ横ばいか微増だった。外へ出る趣味が減り、家でできる趣味が残った、と読みたくなる数字だ。しかし、旅行・行楽は、調査の分類では趣味・娯楽とは別の大分類で、趣味・娯楽の行動者率に表れないのは、当然だ。行動者率は、過去1年に1回でもした人の割合で、趣味の量ではない。量に近い趣味・娯楽の時間は、週平均48分で、2016年より1分長いだけだった。学習・自己啓発・訓練も、36.9%から39.6%へ、2.7ポイント上がっている。30〜34歳では7.1ポイントの上昇で、「教室に通う」学習だけの数字ではないが、外出の制限があった期間に、学ぶ行動が減らなかった。また、一人でいた時間は、全年齢階級で、2016年より増えた。25〜29歳では1時間21分の増加だった。「家でできる/外に出る」という分け方は、調査の分類ではなく、こちらの編集上の分類にすぎない。コロナ禍の移動制限という事情も、混ざっている。

テレワークの日の数字もある。同じ調査で、有業者の平日の時間を、テレワークをした日としなかった日で比べると、睡眠が7時間32分と7時間14分(18分の差)、趣味・娯楽が35分と19分、通勤・通学が4分と1時間7分だった。通勤が消えた分が、睡眠と趣味に流れたように見える。ただし、テレワークをした人は、平日に仕事があった日の有業者のうち6.7%で、同じ人の前後比較ではない。因果は言えない。25〜34歳に絞ると、テレワークをした日の趣味・娯楽は1時間0分、しなかった日は32分で、差はもっと大きい。それでも、平日に通勤した人の通勤・通学の平均は1時間19分という数字を見ると、移動の摩擦の大きさは、想像できる。週全体で全員を平均すると31分で、数字の性格が違う。

「見られているだけ」で、人は下手になるのか

二つ目の説明は、他人の視線だ。ロバート・ザイアンスの1965年のScienceの論文は、他者がいると、よく慣れた反応は出やすくなり、慣れていない反応は出にくくなる、と整理した。これは社会的促進と呼ばれる。ただ、ザイアンスの言う条件は「他者の単なる存在」で、「見られている自覚」ではない。ザイアンスの論文は、自分の新しい実験ではなく、先行研究をまとめた論文だとされている。

「存在」と「評価」のどちらが効くのかは、今も決着していない。1968年のコトレルらは、45人(各条件15人)の実験で、観客として見ている2人がいるときだけ効果が出て、ただ同席しているだけの2人では出なかった、と報告した。1983年のボンドとタイタスのメタ分析は、241の研究、2万4千人近くをまとめて、他者の存在の効果は、典型的な実験で分散の0.3〜3%と小さいことを示した。複雑な課題では速度が下がり、単純な課題では速度が上がる。複雑な課題では正確さも下がる。単純な課題で正確さが上がるという結果のほうは、未発表の帰無結果に弱い。そして、促進の効果は、遂行者の評価不安と「驚くほど関係がない」。ただし、二次情報では、このメタ分析の「単独」条件で、実験者が同じ部屋にいた研究が、241本のうち96本あるという。単独とは、何だったのか。

家でも、画面の向こうの存在は、効くかもしれない。オンラインの講座やコミュニティ、動画の配信は、家の中に他者の存在を持ち込む。2007年のパークとカトランボーンは、アナグラムなどの課題で、画面上の仮想の人間が「同席」しているだけで、易しい課題は成績がよく、難しい課題は悪くなった、と報告した。学位論文版では108人で、アナグラムの平均反応時間が、易しい課題で20.0秒から14.9秒、難しい課題で29.7秒から34.1秒に変わった(論文版と同じ数字かは未確認)。同じ学位論文は、ハノイの塔の課題では効果が支持されなかったことも、著者自身が認めている。誰もいない家で一人でいれば視線から解放される、とは限らない。ただし、これは実験室の課題で、家で何かを始める場面にそのまま当てはまる、とは言えない。画面の向こうの存在が、自分の遂行にどう効くかは、課題の難しさで向きが変わる。

新しいことを覚える場面では、日本の研究もある。1979年に宮本は、女子学生60人に、指で迷路をたどる学習課題をさせた。予想では、単純な迷路で促進、複雑な迷路で抑制のはずだった。結果は、どちらの迷路でも、観察されている人のほうが誤りが多く、基準に達するまでの試行数も多かった。1実験、60人で、運動技能の習得全般には一般化できない。ただ、学習の初期に観察者がいると不利、という方向とは合っている。

運動課題だけを束ねたファン・ムールスらのメタ分析(2022年にオンライン公開)は、82の研究、7,008人をまとめて、筋力や持久力のような体力系の課題は一般に促進され、協調が要る課題は、結果が割れた。著者らは、注意の容量が足りなくなるという説明を支持している。2026年に掲載された(オンライン公開は2024年)、ストループ課題のメタ分析(33の研究)は、他者の存在が干渉を減らすが、注意を向けていない観客より、注意を向けている観客のほうが強く、評価的な観客では効果がなかった、としている。課題の種類と、観客の種類で、結果は変わる。「見られると下手になる」とは、一言で言えない。始めたばかりのことが協調の要る課題に近いとしても、そこから「下手になる」とまでは言えない。評価する観客の前でストループ課題の効果が消えていたことは、評価の視線が効く、という見方には逆風になる。

「下手を見られたくない」という気持ちのほうは、別の話になる。2000年のギロヴィッチらのスポットライト効果の研究は、人は、自分の目立ち方を過大に見積もる、と報告した(5つの研究)。複数の紹介記事は、恥ずかしいかもしれないTシャツを着た人が、気づいた人の割合を約46%と予想し、実際は約23%だったと伝えるが、標本数は確認できていない。ジムでの不安については、「gymtimidation」という語を題に持つ実証研究は、見つからなかった。評価への懸念を扱った研究はある。2010年のサルバトーレとマレチェクは、女性の筋トレを妨げる障壁として評価への懸念を論じ、2025年のカウリーとシュナイダーは、女性279人(84%が現在のジム利用者)の混合手法の調査で、見た目と遂行への評価を感じるというテーマを見つけた。量的な結果としては、男性のほうにより評価されていると感じる人が29.2%、男性のほうにより威圧感を覚える人が39.2%いたと報告されている(割合の分母は、設問に答えた人で、279人全体ではない)。余暇研究には、参加を妨げる制約を、個人内、対人、構造の3つに分けるモデル(1987年のクロフォードとゴッドビー)がある。視線への不安は個人内の制約、教室までの距離は構造の制約にあたる。なお、このモデルの原論文は、書誌しか確認していない。

家と教室は、どちらが続くのか

三つ目の説明は、家には区切りがない、というものだった。教室に通う趣味であれば、開始と終了の時刻、移動時間が、生活の輪郭を作る。月謝は活動そのものではなく、この区切りを買っている、という見方もある。この見方を直接検証した研究は、今回は調べていない。運動の継続では、家と教室の比較がある。

2005年のコクランのレビュー(アシュワースら)は、50歳以上で、心血管のリスクなどがある人を対象に、自宅型と施設型の運動プログラムを比べた。6つの試験、372人。継続率は、自宅型のほうが高いように見えた。2年後の継続率は、自宅型が68%、施設型が36%。ところが、その根拠は主に1つの試験で、対象も限られている。その試験の自宅型にも、電話などの接触があった可能性があるが、同一の試験かどうかも含めて、確かめられていない。「家のほうが続く」と一般化できる証拠ではない。レビューの6つの試験のうち、質が中程度と評価されたのが5つ、低いのが1つ。異質性が大きく、メタ分析はされていない。トレッドミルの成績や危険因子は、群の間でほぼ差がなかった。著者の結論も、継続の点で自宅型が優れていると「思われる」、特に長期で、という慎重な言い方にとどまる。

2006年のバークらのメタ分析は、運動促進の44の研究、214の効果量を、4つの条件で比べた。研究者や専門職の接触がない自宅型、接触のある自宅型、標準的な運動教室、集団の凝集性を高めた教室。接触のない自宅型が最も低く、接触のある自宅型は標準的な教室と差がなく、凝集性を高めた教室が最も良かった。効くのは、家か教室か、ではなく、接触と支えがあるかどうか、らしい。とはいえ、アシュワースらの自宅型の優位と、バークらの接触のない自宅型の低さは、そのままでは噛み合わない。違いの理由は、確かめられていない。

日本には、趣味の会への参加を追った研究がある。2014年の金森らは、65歳以上の12,951人を4年追跡し、要介護認定のハザード比を出した。趣味の組織への参加が0.75、スポーツの組織が0.64、地域の組織が0.85、3種類以上の参加が0.57。観察研究なので、元気な人ほど参加できた、という逆の可能性は排除できない。家で完結する趣味との比較ではなく、組織に参加することの関連を示す数字だ。2016年のファランスらが、地域の集団運動の継続を、高齢者向けの10研究でまとめたレビューでは、比較できる指標を持つ研究の平均の継続率が69.1%(標準偏差14.6)で、継続に関わるテーマに、社会的なつながりとプログラムの設計が挙がった。10研究のみで、長期の継続率が約7割という示唆にとどまる。

「家でできる」という条件が運んでくるもの

三つの説明を、並べ直す。摩擦のなさは、習慣の研究で語られるが、習慣の研究が示したのは、習慣になった行動についてだった。家が摩擦を削るかどうかを、直接測った研究は、見つからなかった。視線のなさは、社会的促進の研究で語られるが、「存在」と「評価」の区別はついておらず、画面越しの存在でも効いた。「恥を避けたい」気持ちを支える数字は、薄かった。区切りのなさは、直接の研究を今回は調べておらず、運動の継続の研究は、家か教室かより、接触と支えの有無を示した。

習慣の研究を、もう一度、数字の側から見ておく。習慣と分類された行動は、日常の35〜43%(大学生の日記)。地域住民では47%という報告もあるが、これは二次情報だ。その習慣のうち、新しい文脈で途切れるのは、文脈が大きく変わったときだった。ある研究が二次的に引くところでは、生活を変えようとした人の報告のうち、成功したものの約36%が引っ越しを伴い、失敗した報告では約13%だった。これも、二次情報による。引っ越しや環境の変化が、変化の窓になる、という話は、昔から繰り返し語られている。窓が開くことと、開いた先で続くこととは、別の話になる。

そう書くと、「家でできる趣味」を探す理由は、何も分からないように見える。日本の数字も、決定的なことは言わない。外へ出る行動の行動者率は下がり、趣味・娯楽の時間はほぼ動かなかった。場所の条件が先に決まる、ということが、数字の上でも起きていたのかもしれないが、行動者率の違う分類を比べているだけで、そうだとも言えない。何を求めているのかは、検索語だけでは分からない。

趣味の中身にも、変化がある。編み物・手芸は10.6%から8.8%に減った。ゲームと音楽鑑賞は伸びた。家でできる趣味がそろって増えたわけではない。「家でできる」という条件が、何を選び、何を選ばせないのかは、この数字からは分からない。

家でできる趣味を探している人は、何を省きたいのだろうか。移動か、準備か、予定か、視線か。それとも、その全部を省いたあとに、何かが残ると思っているのだろうか。

出典

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  • Wood, W., Tam, L., & Guerrero Witt, M. (2005). "Changing Circumstances, Disrupting Habits." Journal of Personality and Social Psychology, 88(6), 918–933.(本文で確認。Heatherton & Nichols (1994) の36%と13%、Quinn & Wood (2004) の47%は、この論文の引用による二次情報)
  • Wood, W., & Rünger, D. (2016). "Psychology of Habit." Annual Review of Psychology, 67, 289–314.(本文で確認)
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