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焚き火で穴が開いたジャケットを、買い替える前に

焚き火で穴が開いたジャケットを、買い替える前に

レインウェアが水を弾かなくなったとき、落ちているのは「防水性」ではなく「撥水性」だという話。自宅でできる範囲の補修と、その境目について。

TOMOAKI··リメイク

焚き火の火の粉で、ハードシェルに小さな穴が開いたことがある。 保温性の高いダウンを着てコンビニに行くくらいには道具を大事にしているつもりだったので、少し落ち込んだ。買い替えるほどの穴ではないが、放っておけば羽毛が少しずつ抜けていく。

調べてみると、この手の穴はたいてい自分で塞げる。生地に合った補修シートを、穴より一回り大きく、角を丸く切って貼るだけだ。ダウンジャケットの場合は、はみ出した羽毛を無理に抜かず、裏側から生地ごと中に押し戻す。あとは指の腹かボトルの底で、中心から外へ向けて圧をかける。24時間ほど置けば定着する。工程としては地味だが、外科手術のような大げさな話ではない。

撥水性が落ちるのと、防水性が落ちるのは別の話

もう一つ、直すたびに毎回忘れかけていることがある。「最近、雨具が水を弾かなくなった」と感じるとき、多くの場合、壊れているのは防水性(水を通さない力)ではなく撥水性(水を弾く力)だということだ。

GORE-TEXのような防水透湿素材は、水滴は通さないが水蒸気は通す膜になっている。表面の撥水加工が生きているうちは、雨が玉になって転がり落ち、内部の湿気はスムーズに逃げていく。撥水が落ちると、表面に水の膜ができて透湿孔がふさがれ、汗の逃げ場がなくなる。結果、雨は入っていないのに内側から濡れる。これを知らずに「防水性能が落ちた」と早合点して買い替えるのは、少しもったいない。

撥水性の回復は、洗濯と熱の組み合わせでたいてい戻る。まず洗濯表示のタグを見る。水温、乾燥機の可否。柔軟剤や蛍光増白剤の入った家庭用洗剤は撥水加工の敵なので、専用の洗剤(Nikwaxやグランジャーズなど)を使う。洗ったあとは、タグが許すなら低温で乾燥機にかける。最近主流のフッ素フリー系の撥水剤は、熱を加えないと分子がうまく整列しないものが多いらしい。乾燥機がなければ、当て布をして低温のアイロンをあてる方法もある。

どこまでが直せて、どこからが寿命か

ただ、なんでも直せるわけではない。生地の表面がボコボコと浮いてきたら、内側のメンブレンが剥離しているサインで、これはもう回復しない。裏地から白い粉が落ちるのは、ポリウレタンコーティングの加水分解で、こちらも直しようがない。シームテープ(縫い目の防水テープ)の剥がれは部分的なら補修できるが、全体的に剥がれてきているなら寿命が近いと見ていい。

保管の仕方も、寿命を左右するらしい。スタッフバッグに小さく畳んだまま押し入れの奥にしまっておくと、高温多湿の日本の夏は加水分解を早める。洗って乾かしたら、なるべく吊るして風を通しておく方がいいようだ。

新品を買う楽しさもわかる。ただ、火の粉で穴が開いたくらいで手放すには、まだ早い場合の方が多い。水滴が玉になって転がり落ちるのを見ると、それなりに満足感がある。次にどこを汚しに行くかは、まだ決めていない。