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情熱は先に見つけるものか、後から育つものか
「情熱を先に見つければ、あとはずっと楽しく続けられる」――そう信じる人ほど、壁にぶつかった瞬間、興味を失いやすいという実験結果がある。この助言は「収入と安定を追え」と比べて、進路の性別の偏りを大きくしうるが、想像上の短期の反応だ。
情熱は、どこかに完成した形で待っているのか
「好きなことを仕事にすべきだ」という、就職や転職の相談でたびたび交わされる助言には、一つの前提が静かに紛れ込んでいる。情熱というものは、すでにどこかに完成した形で存在していて、あとは自分に合ったものを探し当てればいい、という前提だ。まるで宝探しのように、地図さえあれば、いつかそれに行き当たるはずだという発想である。適性診断を受け、自己分析を重ね、「本当に好きなこと」を発見してから、そこに向かって仕事を選ぶ。順序としては、情熱が先、仕事が後になる。この順番があまりに自然に感じられるせいで、立ち止まって疑ってみる人は少ない。
誰もが一度は耳にしたことのある、この使い古された助言だが、その前提そのものを検証した実験がある。心理学者ポール・オキーフ、キャロル・ドゥエック、グレゴリー・ウォルトンが2018年に学術誌Psychological Scienceに発表した研究は、興味というものを「見つけるもの」だと考える人(固定理論)と、「育てるもの」だと考える人(成長理論)を比較する、5つの実験から成る。まず大学生126人を対象にした実験では、参加者は自分を理系寄り(「テッキー」)か文系寄り(「フージー」)のどちらかだと自認したうえで、自分の関心領域の内と外、それぞれについて書かれた学術記事(内容はインターネットの進化的アルゴリズムを論じたScience誌の記事と、文芸批評の未来を論じた学会誌の記事)を読み、関心の度合いを答えた。固定理論を強く持つ人ほど、自分の関心領域の外にある記事への関心が低かった。自分の関心領域の内側の記事では、差は見られなかった。この構図は、141人を対象に、記事への関心を先に答えさせ、考え方を問う質問を後に回すという順序に入れ替えた追試でも、同じ形で現れた。ここまではまだ「傾向」の話にすぎない。固定理論を持つ人は、すでに関心のある分野の外にあるものへの興味を持ちにくく、情熱を見つけた人がその先で壁にぶつかるとは、あまり予想しない傾向もあった。そして実験で対象を難しくすると、固定理論の記事を読まされた群は、成長理論の記事を読まされた群よりも、はっきり大きく関心を落とした。「好きなことを見つける」という発想は、皮肉なことに、見つけた対象が難しくなった場面で、それを手放しやすくするのかもしれない。もっとも、測ったのは一回の実験の中での変化で、何年も続く好き嫌いではない。情熱を探す行為そのものが、その情熱を長続きさせる力をかえって弱めているとしたら、この助言は自分自身の足を撃つような、矛盾した構造を抱えていることになる。
この関連が、単なる相関ではなく因果であることを確かめる実験も行われている。大学の実験室に集めた参加者89人に、興味は生まれつき決まっていて一生変わらないと説く、一般向けの心理学雑誌の記事に似せて作った2ページの読み物と、興味は関わり方次第で育っていくと説く記事のどちらかを読ませた。両方の記事は、アインシュタインのような著名人を例に挙げながら、興味が生涯を通じて変わらないか、それとも人と対象の相互作用のなかで育っていくかを説く、体裁のよく似た読み物として作られている。その後、自分の得意分野の外にあるテーマへの関心を測ったところ、固定理論を読まされた群では関心の平均が7点満点中2.04にとどまったのに対し、成長理論を読まされた群では2.64まで上がっていた(統計的に有意な差)。わずか2ページの記事一本で、その場の関心の持ち方まで変わってしまうということになる。
この研究には、もう一つ興味深い実験が含まれている。固定理論を持つ人ほど、情熱を見つけた人について「際限のないやる気が湧き続けるはずだ」という、非現実的な期待を抱きやすかった。参加者44人に自由記述で尋ねたこの実験では、固定理論への支持が強い人ほど「情熱さえ見つかれば限りない意欲が続く」と回答する確率が高く、逆に「情熱を追うことは時に難しいはずだ」と答える確率は低かった。情熱さえ見つかれば、その先はずっと楽しく進めるはずだという思い込みだ。付き合い始めの高揚感が、そのまま何十年も続くと思い込むのに近い。この期待があるからこそ、実際に壁にぶつかったとき、「情熱の見つけ方を間違えたのではないか」という疑いに転じやすくなる。この思い込みが実際にどう作動するかを確かめた実験はとりわけ具体的だ。研究チームは学生71人に、まずスティーブン・ホーキングのブラックホール理論をわかりやすく紹介する動画(2分40秒、一般向けに制作されたもの)を見せた。動画を見た直後の関心の高さは、固定理論条件でも成長理論条件でも変わらなかった。ところが続けて、同じ主題を扱う専門誌Science掲載の学術論文(かなり難解な内容)を読ませたところ、固定理論条件のほうが関心の落ち込みが大きく、なかでも「この論文は理解しづらかった」と感じた学生に限ると、その差はさらに開いた。直前まで「面白い」と評価していたはずの固定理論条件の学生は、論文を難しいと感じた場合、関心の予測値が6点満点中2.75まで落ち込み、これは統計的に見て中間点(3.50)を有意に下回る水準だった。同じように論文を難しいと感じた成長理論条件の学生では、予測値は3.59で、中間点を下回るほどには落ちていなかった。壁にぶつかるたびに「これは自分の本当の天職ではなかったのかもしれない」と探し直しを繰り返す人は、この思い込みの罠に、何度もはまっている可能性がある。
情熱は、あとから育つものらしい
この知見とほぼ同じ方向を向いた主張を、学術論文の外側から出しているのが、コンピュータ科学者カル・ニューポートだ。2012年の著書So Good They Can't Ignore Youで、ニューポートは「好きなことを先に見つけて、それに合う仕事を探す」という発想を「情熱仮説」と呼び、これを疑ってかかる。彼の観察では、キャリアに直結するような情熱を最初から持っている人はまれで、多くの人が「好き」だと感じているものは、スポーツや芸術のような趣味的な関心にとどまり、そのまま職業に結びつくとは限らない。むしろ、ある分野に長くとどまり、そこで通用する技能を積み上げていく過程そのものが、後から情熱を育てるのだという。先に貯金をしてから、その貯金で自由に使える時間や裁量を買う、という順番にどこか近い。情熱という財布を先に満タンにしてから仕事を選ぶのではなく、技能という元手を積み立てながら、その利息として情熱を受け取る、という順番になる。この本は学術論文ではなく一般書だが、ニューポートの言う「職人的思考」――仕事が自分に何をくれるかではなく、自分が何を生み出せるかに目を向けること――は、先のオキーフらの実験結果と方向が合う。彼の言う順番は、まず珍しく価値のある技能(キャリア資本)を身につけ、それを元手に、仕事の進め方を自分で決められる裁量を手に入れていく、というものだ。
心理学者アンジェラ・ダックワースの「グリット」研究も、同じ方向を補強する。ダックワースは、粘り強さを支える要素の一つとして「興味」を挙げているが、その興味は最初から完成した情熱として現れるのではなく、外の世界との偶然の接触から始まり、発見・発展・深化という段階を経て育っていくものだと説明している。「情熱を先に見つける」のではなく、「情熱が後からついてくる」という順序は、専門も方法もばらばらな複数の研究者が、それぞれ別の角度から同じ結論にたどり着いている点で、それなりの重みを持つ。心理学の実験室での操作、研究と取材から組み立てた発達段階の見取り図、キャリア論としての整理という、方法も出発点も異なる三者が、同じ方向を指し示しているという事実そのものは、軽視しにくい。学術論文と一般書という、書き手の立場の違いを超えて、似た結論に収れんしているという点も、この一致に厚みを添えている。もっとも、複数の論者が同じ方向を向いていることと、その方向が正しいこととは、厳密には別の話でもある。同じ時代の空気を吸っている論者たちが、たまたま似た結論に流れ着いているだけ、という可能性も、完全には排除できない。
ただし、この補強材料であるグリットという概念自体にも、割り引いて聞くべき事情がある。2017年に発表された、584の効果量・88の独立標本・参加者6万6,807人を束ねたメタ分析は、グリットが誠実性(コンシエンシャスネス)という既存の性格特性と非常に強く重なっており、パフォーマンスや継続率との相関も、当初喧伝されていたほど大きくはなく「中程度」にとどまると報告している。しかも同じ分析は、グリットを構成する2つの下位要素――粘り強さと、関心の一貫性――のうち、成果を予測する力が強いのは粘り強さのほうで、関心の一貫性(まさに「情熱を保ち続けられるか」を測る部分)は、相対的に予測力が弱いことも示した。「情熱は後から育つ」という主張を支える柱の一本が、実はそれほど頑丈ではないかもしれない、ということになる。
探すのではなく、手元の仕事を作り変える
「情熱を探す」という発想への、もう一つの対案がある。経営学者エイミー・レズニエスキーとジェーン・ダットンが2001年に提唱した「ジョブ・クラフティング」という考え方は、仕事の意味や自分にとっての位置づけは外部から発見するものではなく、目の前にある仕事そのものを、担当業務の組み立て方(タスク・クラフティング)、関わる相手との関係(関係性クラフティング)、その仕事の捉え方(認知クラフティング)という3つの経路で、自分の手で作り変えていくことによって生まれる、と説く。理論の提唱にとどまらず、後続の研究でも一定の裏付けが得られている。ドナルド・フレデリックとタイラー・ヴァンダーウィールが2020年に発表した、縦断調査とランダム化比較試験の計16本に絞ったメタ分析の報告によれば、ジョブ・クラフティングと、その後のワークエンゲージメント(仕事への熱意や没頭)とのあいだには、d=0.37(95%信頼区間0.16〜0.58)という関連があるという。著者たちは抄録で「かなりの」関連と書く一方、考察では「小さな効果」とも書いていて、研究どうしのばらつきも大きく(I²は90%)、性格の影響も統制されていない。測定の多くは後続の研究者が作った尺度によるもので、レズニエスキーとダットンの元の構想とは距離がある。それでも、単発の横断調査ではなく時間を追った設計だけを選んで束ねている分、「熱意のある人ほど仕事を作り変えたくなる」という逆方向の因果を説明に持ち出しにくい点は評価できる。「どこかに向いている仕事を探し当てる」のではなく、「今の仕事の中で、手を加えられる部分を見つけて作り変える」という経路に、控えめではあるが、時間を追った設計の裏付けがある。レズニエスキーが別の共著者たちと1997年に発表した先行研究の報告に、この見方を支える数字がある。196人の労働者に、自分の仕事を「単なる仕事」「キャリア」「天職」のどれに近いと感じるか尋ねた(3つの人物描写のうち最も自分に似ているものに割り当てる形で、分類できたのは135人)ところ、内訳は44人、43人、48人と、ほぼ3等分に分かれたという。ここまでなら、職種の違いを反映しているだけだとも考えられる。ところが、同じ職種の大学の事務職員24人だけを抜き出しても、9人、7人、8人と、3つの区分に分かれていたと報告されている。同じ職種でも、それを「天職」と感じるか「ただの仕事」と感じるかは、職種そのものだけでは決まらないことになる。この結果は手がかり以上の意味を持たないと著者たち自身が断っているが、天職は外側にあるどこかの職業を探し当てることだけでは手に入らないのかもしれない、という見立ては、この数字からもうかがえる。
ただし、興味と仕事の相性自体、思うほど効いていない
ここで、話をもう一段疑ってみたい。仮に情熱が後から育つのだとしても、そもそも「自分の興味と仕事が合っているかどうか」は、満足度をどれだけ左右しているのだろうか。心理学者クリストファー・ナイらが2012年に発表したメタ分析は、60年分以上の研究を統合し、興味そのものの強さを測った尺度よりも、個人の興味の傾向と環境側の特性がどれだけ噛み合っているか(一致度)を指標に取ったほうが、仕事や学業の成果をよく予測する、と報告している。一方、心理学者ケビン・ホフらが2020年に発表した別のメタ分析は、65年分・194の効果量・参加者3万9,602人という、さらに大規模なデータを対象に、興味の一致と仕事の満足度の関係を専門に調べ、相関係数0.19という結果を出している。ホフらは、興味の一致は満足度よりも成果のほうを強く予測している、と結論している(ナイらの結果とも同じ向きだが、二つのメタ分析には同じ研究者が共著者として入っている)。「好きなことをしていれば満足できる」という直感は、少なくともこの規模のデータからは、それほど強くは支持されない。0.19という数字自体は無視できるほど小さくはないが、相関にとどまる数字であり、興味と職務を一致させれば満足度が上がる、という因果関係まで示しているわけではない点には注意が要る。もともと満足度の高い人ほど、自分の仕事を「興味に合っている」とあとから意味づけている、という逆向きの説明も、まだ排除できていない。
情熱には、燃え尽きさせる種類のものもある
仮に情熱が見つかり、育ち、仕事との相性も悪くなかったとして、それで話は終わりだろうか。心理学者ロバート・ヴァレランドらの「情熱の二元論モデル」は、情熱そのものを一枚岩として扱うことに疑問を投げかけている。この理論は、情熱を「調和的情熱」と「強迫的情熱」という2種類に分ける。調和的情熱は、その活動を自分の意志で自己同一性に取り入れた結果として生まれ、他の生活領域と衝突しにくい。一方、強迫的情熱は、その活動への統制された取り込まれ方をしており、活動のことを頭から追い出しにくく、それが生活の他の部分との葛藤になっていく。ヴァレランドらが2010年に発表した研究は、この構図を2つの調査で検証している。フランスの看護師97人を対象にした横断調査(研究1)に続き、カナダ・ケベック州の看護師258人を6か月にわたって追跡した縦断調査(研究2)でも、強迫的情熱は仕事と生活の他領域との葛藤を介して燃え尽きにつながる一方、調和的情熱は仕事満足を高め(研究2では葛藤を減らす向きにも働き)、燃え尽きを防ぐ方向につながる、という道筋が確認されている。ただし、強迫的情熱の経路は、追跡調査では統計的にぎりぎりの水準(p=.05)だった。どちらも相関研究で、因果までは言えないと、著者たちも断っている。「情熱に従え」という広く流通する助言は、この2種類の情熱を区別しないまま語られることが多い。情熱さえ見つかれば安泰だという単純化は、見つけた情熱が強迫的な形を取っていた場合には、むしろ危険な処方箋になりかねない。ある活動にのめり込んでいる本人からすれば、その没入が調和的なのか強迫的なのかを、渦中で見分けるのは難しい。周囲から見れば疲弊しているようにしか見えない働き方を、本人だけがずっと「情熱」という好意的な言葉で捉え続けている、ということも起こりうる。
もっとも、この二分法をそのまま単純な善悪の対比として受け取るのも、いささか性急かもしれない。心理学者トーマス・カランらが2015年に発表した、1,308の効果量を束ねたメタ分析によれば、調和的情熱は肯定的な感情や集中体験、パフォーマンスといった望ましい結果とおおむね結びついていた一方、強迫的情熱は、否定的な感情や反すう思考といった望ましくない結果と結びつくだけでなく、正の感情や意図的な練習のような肯定的な結果とも関連が見られたという(活力の高さは、全体の分析では一貫した関連にならなかった)。つまり強迫的情熱は、単純に「悪い情熱」というより、良い面と悪い面を併せ持つ、扱いにくい性質のものらしい。この関連の強さは年齢や性別によってはほとんど変わらなかったが、活動の領域や文化的背景によっては変動が見られたとも報告されている。強迫的情熱を抱えている本人が、その状態を手放しで肯定的に語る場面が生じうるのは、この両面性のせいでもあるのだろう。
「好きなことを探せ」という助言自体が、中立ではないらしい
もう一つ、個人の満足度とは別の層で、この助言の効果を検証した研究がある。心理学者ジョン・オリバー・シイらが2023年に学術誌Journal of Personality and Social Psychologyに発表した、事前登録された5つの研究(調査1つと実験4つ、合計1,934人)は、「情熱に従え」という文化的な理念の影響を調べた。理念を操作した実験では、その理念に従ったと想像して答えるよう求められた。結果、「情熱に従え」という理念の条件では、「高い収入と安定を追求すべきだ」という理念の条件に比べて、仮定の進学・就職の意向や思い浮かべた職業に表れる性別間の偏りが大きくなった。女性らしさと結びつきやすい「人とのつながりを重視すべきだ」という理念との比較は1つの実験で行われ、国の統計で測った男女比では「情熱に従え」の方が偏りが大きかったが、本人が感じる男女比では差が有意にならなかった。研究チームは、この偏りが生じる経路も探っている。「情熱に従え」という理念の条件では、「収入と安定を重視すべきだ」という理念の条件に比べて、女性のほうが男性より強く、「女性らしいとされる自己像」を進路選択の判断材料に引き寄せる傾向があった。この経路は、「その理念が自分の性別にふさわしいかどうか」といった他の説明変数を統制してもなお、有意な媒介として残っていた。これは個人の満足度とは別の層の話になる。「好きなことを仕事にすべきだ」という一見中立な励ましが、進路選択の場面では、他の理念と比べると、性別による分布の偏りを大きくしうる、ということだ。何も言わない条件と比べると、偏りが増えるという結果は出ておらず、ある実験ではむしろ小さかった。他の助言と並べたとき、受け取る側の性別によって、進路の思い描き方に違う傾きを与えうる。
ただし、これらの実験はその理念に従ったと想像させる操作による短期的な反応を、仮定の質問で測ったものだ。実際の進路選択を追ったものではなく、実生活の中で「情熱に従え」という助言に日常的にさらされ続けた場合に、同じ規模の効果が積み重なるかどうかまでは、これらの実験だけでは言い切れない。それでも、中立な励ましだと思われているものが、仮定の質問という限定された条件の中でさえ、他の理念と比べて、偏りの大きさに測定可能な差が出たという事実は、軽く扱えるものではない。
並べてみると、この助言をめぐる話は何層にも重なっている。情熱は最初から見つかるものではなく、後から育つものらしい。ただしその情熱と仕事の相性自体、満足度への影響は思われているほど強くない。情熱にはそもそも調和的なものと強迫的なものという、性質のまるで異なる2種類があり、しかも強迫的情熱は単純に悪いものとも言い切れない、良い面と悪い面を併せ持つ厄介な代物らしい。見つけた情熱の質によっては、燃え尽きと結びつくこともある。情熱をはるか外側のどこかに探しに行くより、目の前の仕事を自分の手で作り変えるほうが、少なくともここまで見てきた控えめなデータの範囲では、分が悪くなさそうではある。そして、この助言を他の助言と並べたとき、性別によって進路の思い描き方を違う向きに傾けうる、という結果まで出ている。「好きなことを仕事にすべきだ」という一文に、これだけの層が積み重なっていることは、たいてい語られない。
「情熱に従え」という一文がこれほど広く流通しているのは、その単純さゆえだろう。だが単純な言葉の裏には、見つけ方、育て方、相性、種類、探し方、そして誰にとってこの助言が公平に機能するかという、少なくとも6つの異なる論点が折り重なっている。どれか一つを検証しただけで、この助言全体の当否を判定するのは、性急にすぎる。一文で片づけられるほど単純な話ではなかったということだけは、どうやら確かなようだ。
出典
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