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冬の教養娯楽は、12月を入れるとほぼ減らず、外すと1割減る——家計調査の月別を読む

冬の教養娯楽は、12月を入れるとほぼ減らず、外すと1割減る——家計調査の月別を読む

二人以上の世帯の家計調査(4年分)で、冬の教養娯楽は12月込みで夏の約0.97倍、12月抜きで約0.89倍。宿泊や旅行は減り、月謝や手芸の材料は夏とほぼ同じ額が使われていた。

TOMOAKI··趣味

冬は、暖房費がかさむ。電気代もガス代も灯油代も上がる。家計が圧迫されれば、趣味に回すお金が削られる。そう考えるのは自然なことだし、冬は寒くて出かけにくいから、趣味の費目は二重に押されているようにも見える。

この直感を、総務省の家計調査の月別の数字に当ててみた。2024年の全国平均で、冬の光熱・水道は夏より月に6,130円増えた。ところが、教養娯楽の支出は、夏より725円しか減っていない。数字だけを見れば、暖房費が増えても、趣味はほとんど削られていない。

話はここで終わらない。この「725円」は、12月を冬に入れた数字だ。12月を外して、1月と2月だけで冬を数え直すと、減り幅は月に3,214円、夏の約0.89倍になる。減ったのか、減らなかったのかは、12月を冬に入れるかどうかで変わる。そして、費目ごとに見ると、冬に落ち込むものと、ほぼ変わらないものにはっきり分かれていた。順に書いていく。扱うのは二人以上の世帯の平均で、個々の家計ではない。

冬の家計簿を、どう切るか

使うのは、家計調査(家計収支編)の、二人以上の世帯の月別の結果だ。全国で毎月およそ7,100から7,600世帯が対象になる。2019年、2023年、2024年、2025年の4年分、48か月分を、公表されている表から集計し直した。額はすべて、その月の名目、つまり物価の変動を除いていない円だ。「教養娯楽」は、書籍、スポーツ、旅行、月謝などをまとめた区分で、趣味の支出だけを切り出したものではない。

冬と夏を比べるために、期間を決めておく。夏は、同じ年の6月から8月。冬は、12月と1月と2月を使うものを「12月込みの冬」、12月を外して1月と2月だけを使うものを「12月抜きの冬」と呼ぶ。冬の月平均を夏の月平均で割った値を、「冬夏比」とする。

2024年の全国平均で見る。教養娯楽の1か月の支出は、12月込みの冬が28,722円、夏が29,447円で、冬夏比は0.975。光熱・水道は、冬が25,999円、夏が19,869円で、冬夏比は1.31だった。教養娯楽の4年分の冬夏比は、12月込みで0.974、0.984、0.975、0.964。光熱・水道の冬夏比は、同じ年の順に、1.44、1.62、1.31、1.37と、年によって大きく違う。2023年は、政府が電気とガスの料金を補助していた時期で、請求額の比較にその影響が混じる。補助の単価と期間は、今回は確認できていない。

家計簿の1年を、月ごとに歩く

冬と夏の2点だけでは、1年の中の動きが見えない。2024年の教養娯楽を、月ごとに追ってみる。

1月は26,259円、2月は26,207円で、年間でいちばん低いところにある。3月は30,977円まで一気に戻る。春の新学期や、卒業・入学の費用が重なるのかもしれない(表には、理由は書かれていない)。4月が28,905円、5月が28,154円、6月が28,116円。7月は29,920円、8月は30,305円と、夏の休暇に向けて上がる。9月は27,341円と下がり、10月が29,592円、11月が29,702円。そして12月が、年間で最も高い33,700円だ。

この1年の形は、4年とも似ている。12月が最大で、最小は、3年が2月、1年が1月。3月に戻り、8月にもう一つの山がある。冬の谷は、年間の波のなかで、いちばん低いところにあたる。ただし、波は冬だけのものではない。9月のように、夏の平均を下回る月が、年によってはある(2023年と2024年は、夏の平均より2,100円ほど低かった)。

夏の山と冬の谷の差が、どこから来ているのかも確かめておく。2024年の教養娯楽サービス(宿泊、旅行、月謝、入場料などを含む費目)は、1月が14,724円、8月が19,125円で、4,401円の開きがある。教養娯楽全体の1月と8月の差は4,046円だから、サービスの差のほうが大きい。モノを買う費目は、1月のほうが8月より約350円多い。冬と夏の差は、出かけたり、サービスを買ったりする費目が引っ張っている。

光熱・水道のほうは、形が単純だ。2024年は、1月が26,108円、2月が27,859円、3月が27,615円と高く、5月に21,983円まで下がり、夏は19,000円台から20,000円台に落ち着く。9月に22,272円まで上がったあと、秋は20,000円台前半で、12月は24,031円。光熱費のピークは1月から3月で、12月ではない。

17世紀オランダの室内で、子どもたちが聖ニコラウスの祝日の贈り物を受け取る絵画。人形を抱えて笑う少女と、目をこする少年が描かれている。ヤン・ステーン作。

12月が、冬を持ち上げている

では、12月を冬に入れると、何が起きるのか。12月抜きの冬夏比は、4年で次のとおりだ。

  • 2019年: 12月込み0.974、12月抜き0.898
  • 2023年: 12月込み0.984、12月抜き0.914
  • 2024年: 12月込み0.975、12月抜き0.891
  • 2025年: 12月込み0.964、12月抜き0.875

12月を外すと、夏より9%から13%少ない。2024年なら、1・2月の平均は26,233円で、夏の29,447円より3,214円少ない。同じ1・2月に、光熱・水道は夏より7,114円多かった。4年を通して、夏から1・2月への変化は、光熱・水道が7,114円から15,688円の増加、教養娯楽が2,452円から3,870円の減少だった。

消費支出全体に占める教養娯楽の割合も、同じ形をしている。2024年は、夏が10.2%、1・2月が9.2%で、4年ともほぼ同じ差だった。

12月は、なぜ高いのか。クリスマスの贈り物や年末のボーナスがあり、おもちゃ、ゲーム、本、ノートの費目が12月に集中して増える。これは私の推測で、家計調査の表には、理由は書かれていない。ただ、4年とも12月が最大であることは確かだ。「飛び抜けて高い」とまでは言えない年もある。2023年は、12月(31,970円)と8月(31,432円)の差が538円、2025年は、12月(35,350円)と8月(35,038円)の差が312円しかない。夏の山と冬の山は、年によっては、ほぼ同じ高さにある。12月込みの冬夏比が1に近づくのは、この山が、冬の谷を埋めているからだ。

この差を、身近な数字に置き換えてみる。3回の小テストを受けて、1回に満点が混じったとする。3回の平均は、満点の回を入れるか外すかで大きく変わる。冬の家計簿の12月は、この満点の回にあたる。12月を入れた冬夏比0.97は、満点が平均を引き上げた値で、12月を外した0.89が、贈り物の月を除いた冬の姿に近い。ただし、そのふつうの月が、暖房費のせいで削られたのか、もともと1月と2月は財布を締める月なのかは、この数字だけでは分けられない。

羽織をかけた女性が火鉢に両肘をつき、炭火で手を温めている浮世絵。右上の枠には、雪の中を歩く人が描かれている。歌川国貞のシリーズ「今様三十二相」。

暖房費は、どこから増えるのか

念のため書いておくと、光熱・水道は、暖房費そのものではない。給湯、照明、水道料金も含まれ、夏には冷房の電気代が入る。冬の増加の多くが暖房だと想像はつくが、表の上では、暖房費だけを取り出していない。

それでも、中身を見ると、冬の暖房の姿が出てくる。電気代とガス代は、夏でも一定程度かかるので、増え方は穏やかだ。2024年は、電気代が夏の約1.2倍、ガス代が約1.4倍。補助金の出ていた2023年は、電気代が約1.6倍、ガス代が約1.7倍だった。いちばん大きく動くのは灯油で、4年平均で、夏が月に257円、冬が2,718円。約10.6倍になる。

暖房器具そのものは、あまり買われない。ストーブ・温風ヒーターは、4年平均で、夏が月に10円、冬が243円。毛布は、夏が3円、冬が68円。増える倍率は大きいが、額は小さく、世帯あたり月に数百円の話だ。冷暖房用器具全体では、夏のほうが高い。夏が2,728円、冬が1,102円で、内訳を見ると、エアコンが夏に大きい。

ここで、確かめられなかったことを書いておく。こたつ、電気毛布、電気カーペットは、家計調査の品目として独立していない。「他の冷暖房用器具」のような区分に入っていて、その定義も、私は確認できていない。「こたつにかかる費用」という見出しは、この統計では立てられなかった。

冬の暖房費の増加は、器具を買うことより、燃料と電気を使うことから来ている。一度買えば終わる支出ではなく、毎月、静かに積み上がる支出だ。

減るものと、減らないもの

教養娯楽は、さまざまな費目の集まりだ。冬に何が減り、何が減らないのかを、4年平均の冬夏比で見てみる(12月込みの冬)。

冬になると、用が薄れる費目がある。

  • 宿泊料: 0.69倍(年ごとに0.63から0.75)
  • パック旅行費: 0.73倍(年ごとに0.65から0.83)
  • 園芸用品: 0.46倍(年ごとに0.40から0.49)
  • 教養娯楽サービス全体: 0.89倍

季節に関係なく、夏と同じ額が払われ続ける費目がある。

  • 月謝類: 1.05倍(年ごとに0.94から1.16)
  • スポーツ月謝: 1.00倍(年ごとに0.95から1.06)
  • スポーツクラブの使用料: 1.00倍
  • 手芸・工芸材料: 1.06倍
  • 温泉・銭湯の入浴料: 1.07倍
  • 書籍: 1.15倍(12月を外した1・2月だけだと1.03倍)

見落としやすい区別を、二つ書いておく。一つは、月謝や会費は、通っていなくても払い続けることがある、という点だ。支出が減らないことは、続いていることの証拠にならない。この統計から言えるのは、冬になって、家計が月謝を打ち切る動きが目立っていない、というところまでだ。もう一つは、割り方だ。旅行や宿泊は出かける費目で、園芸用品は庭仕事の費目で、どちらも冬は用が薄れる。一方、スポーツクラブや温泉は、出かけるものなのに、冬も減らない。出かけるかどうかではなく、冬という季節に用が薄れるかどうかで、費目が分かれている、と見るほうが近い。

12月に集中する費目もある。ノート・紙製品は、12月込みで夏の1.67倍だが、12月を外すと1.23倍。ゲームソフトは、12月込みで1.52倍、1・2月だけだと1.03倍。教養娯楽用品は、12月に月平均10,238円で、夏の6,951円を大きく上回る。これらの「冬の増加」は、冬の寒さというより、12月の贈り物の季節の影響だと考えるのが自然だ。これも推測で、表には理由が書かれていない。

年ごとの安定の仕方も、費目によって違う。ノート・紙製品は、4年とも1.64から1.73に収まり、冬の増加がほぼ毎年同じ形で出る。スポーツ月謝も、0.95から1.06で安定している。一方、パック旅行は0.65から0.83、月謝類は0.94から1.16と、年ごとの揺れが大きい。減る側か、守られる側かで、安定と揺れが分かれるわけではない。「月謝は減らない」という言い方は、4年平均としては正しいが、どの年にも当てはまる法則ではない。

光熱費の重い年ほど、趣味は減ったのか

地方の前に、年を比べてみる。4年のあいだに、冬の光熱費の重さは、大きく動いた。12月抜きの冬夏比で、光熱・水道は、2019年が1.55、2023年が1.84、2024年が1.36、2025年が1.47。2023年は、夏より84%も高かったことになる(補助金の影響が混じる年だ)。

同じ年の、教養娯楽の12月抜きの冬夏比は、2019年が0.898、2023年が0.914、2024年が0.891、2025年が0.875だった。光熱費がいちばん重かった2023年に、教養娯楽の冬夏比は、4年でいちばん高い。つまり、減り方が最も小さい。光熱費がいちばん軽かった2024年は、教養娯楽の冬夏比は、4年の中ほどにある。

順位を並べてみる(12月抜きの冬夏比)。光熱費が重い順は、2023年、2019年、2025年、2024年。教養娯楽の冬夏比が高い(減っていない)順は、2023年、2019年、2024年、2025年。上位の二つは同じ並びで、下位の二つが入れ替わる。4年しかなく、年ごとの違いは、景気や物価、世帯の構成の変化も含んでいるから、これで何かが言えるわけではない。ただ、「光熱費が重い年ほど、趣味が削られた」という素直な仮説は、少なくともこの4年には、当てはまらなかった。

もう一つ、年の比較で気づくことがある。2023年は、光熱費が最も重い年で、物価の上昇も続いていた。それでも、12月抜きで見た教養娯楽は、夏に対して最も落ちなかった。家計は、光熱費の負担が重くても、趣味の費目に手をつけなかったのか。光熱費の数字は補助を引いたあとの請求額なので、補助が負担を和らげたのかどうかも、この数字からは分からない。

暖房費の重い地方で、趣味は減るのか

暖房費が増えるなら、増え方がいちばん大きい地方で、趣味の支出も、いちばん大きく減るはずだ。調べてみた。

北海道は、光熱・水道が、12月込みの冬で夏の1.8倍から2.1倍になる。灯油は、夏が月に1,453円から1,988円なのに、冬は11,494円から14,270円と、年ごとに6倍から8倍あまり(4年平均で約7.5倍)になる。全国の平均が約10.6倍なのは、全国では、夏の額がずっと小さいからだ。東北は光熱費の冬夏比が1.5倍から1.9倍。九州は1.3倍から1.6倍で、関東は1.25倍から1.57倍だ。沖縄は、光熱費が冬に夏より低く、標本も小さいため、ここでは外した。

教養娯楽の冬夏比は、4年平均で、12月込みが北海道1.077、東北1.028、九州0.982、関東0.948。12月抜きでは、北海道0.968、東北0.967、九州0.909、関東0.876だった。暖房費の重い地方ほど、教養娯楽が減っていない。仮説とは、逆向きに並んでいる。北海道は、関東より、12月込みでも12月抜きでも、4年とも高い値だった。

この逆向きの理由は、分からない。暖房費の重い地方は、冬の暮らしが、家の中で完結するように組まれていて、もともと冬の旅行を計画に入れないのかもしれない。これは私の推測で、確かめられるデータは、手元にない。地方ごとの収入や、暮らし方の違いも、数字に混じっている。

ただし、北海道の標本は小さい。月ごとの集計世帯が、およそ260世帯しかなく、2025年の北海道の教養娯楽は、月によって20,889円から32,822円まで振れる。1.077という値は、「減っていない」とは言えるが、「増えている」とは言えない。

全国の月別の偏りで見ても、光熱・水道と教養娯楽の関係は、弱い。年ごとの平均から、月ごとのずれを取って、二つの相関を見ると、およそマイナス0.22だった(12月を除くとマイナス0.26。48か月、44か月での試算)。相関は、二つが一緒に動く傾向を、マイナス1からプラス1の値で表したもので、マイナス0.22は、光熱費が高い月ほど教養娯楽が低い向きではあるが、偶然と区別しにくい大きさだ。

光熱費が増えたぶんを、どこから削るのか

ここまでが、数字の側の話だ。では、暖房費が増えたとき、人は、どの費目から削るのか。これには、理論の側の整理がある。

消費者は、費目ごとに、頭の中に予算の「封筒」を置いている。食費の封筒、光熱費の封筒、趣味の封筒。これを、メンタルアカウンティング(心の会計)と呼び、リチャード・セイラー(Thaler)が1999年の総説で整理した。ヒースとソル(Heath & Soll)が1996年に報告した三つの研究は、消費者が費目ごとに予算を置くと、予算が使いすぎを防ぐ一方で、余裕があっても使わない過少消費が起きる場合がある、と述べている。

封筒の考え方から、冬の家計簿を読むと、こうなる。光熱費の封筒が膨らんだとき、趣味の封筒は守られるのか、財布全体の都合で削られるのか。封筒がどれだけ固いかで、答えは変わる。ただ、この統計から、封筒の固さは測れない。12月込みの0.97倍は、贈り物の山が押し上げた数字で、封筒の固さを見ているとは言いにくい。12月抜きの0.89倍も、光熱費の影響なのか、1・2月がもともと低い月なのか、分けられない。

封筒の考え方を、傍証する研究はある。ビーティら(Beatty et al.)が2014年に報告したのは、英国で高齢世帯に出される冬季燃料給付だ。この給付金の平均47%が、燃料に使われていた。現金として扱われるなら、3%と予想される額だ。「燃料のための金」という名前(ラベル)がついた金は、燃料の封筒に入りやすい。

もう一つ、同じ英国の、ビーティとブロウとクロスリー(Beatty, Blow & Crossley)が2014年に報告した、寒さと食費の研究がある。高齢世帯のデータで、食費が有意に減るのは、平年より標準偏差で2以上寒い月で、約40回の冬の月に1回の頻度だった。貧しい世帯ほど、その影響は大きい。暖房費が食費を削るのは、極端な寒さと、余裕の乏しい世帯に限られる、という見方と整合する。ただし、これは食費の話で、趣味の費目の話ではない。

家計調査の数字は、世帯全体の平均だ。暖房費が趣味を削るという直感が、平均の世帯でははっきり確認できず、余裕の乏しい世帯では起きるのかどうかは、この統計では見えない。

この数字が、言えないこと

最後に、言えないことをまとめておく。三つに分ける。

一つめは、数字の性質だ。名目額で見ても、物価で割って実質にして見ても、向きはほぼ同じだった。教養娯楽の12月込みの冬夏比は、実質で0.975、1.007、0.988、0.980(消費者物価指数を使った試算。2019年は基準年の接続の近似)。ただ、光熱・水道の実質化は、2023年の補助金の時期のずれで、信頼しにくい。調査された世帯の数も限られる。全国は月に約7,100から7,600世帯だが、北海道は約260世帯、沖縄は約220世帯で、品目ごとの月別の額は振れが大きい。前年の12月を使う切り方も試したが、2024年が0.956、2025年が0.947で、12月込みよりやや低く、12月抜きよりかなり高かった。切り方で、0.875から0.984の幅の中を、数字が動く。

二つめは、数字の範囲だ。二人以上の世帯の平均で、単身の世帯は含まれない。子どものいる世帯と、高齢の世帯で、冬の姿は違うかもしれない。「教養娯楽」の区分は、パソコンやテレビ、ペットフードも含み、趣味の費目だけを切り出せる粒度の統計ではない。この記事で趣味の費目として挙げた月謝や手芸の材料は、区分の中の一部にすぎない。

三つめは、理由の説明だ。「冬は家にいる時間が増えて、趣味が家の中に移る」という説明は、もっともらしい。日本の公的な統計で、季節別の在宅時間を取れるものは、見つからなかった。社会生活基本調査は、調査の時期が10月で、季節を比べられない。NHKの国民生活時間調査は5年周期で、調査時期の確認が取れなかった。この記事の「冬は家にいる」は、統計ではなく、仮定だ。12月の高さの理由も、私の推測だ。

平均の家計は、誰の家計なのか

家計調査の数字は、二人以上の世帯の「平均」だ。平均は、極端に趣味にお金を使う世帯と、まったく使わない世帯を、混ぜて割った値になる。冬に、旅行を控える世帯もあれば、冬に習い事を始める世帯もある。これらが打ち消し合って、平均の変化が小さく見えている可能性がある。

「冬に変わらない」という数字は、すべての家計が変わらない、という意味ではない。守られた月謝が、大切にされている趣味なのか、惰性で払い続けられているのかは、数字からは分からない。削られた旅行が、我慢の結果なのか、冬の旅を元から好まない人の結果なのかも、分からない。

ここまでで確かめられたのは、次のことだ。二人以上の世帯の平均では、暖房費が増えても、教養娯楽の額は、12月込みの冬では大きく落ちない。12月を外すと、落ち幅は9%から13%になる。その落ち幅は、旅行や宿泊が引っ張っていて、月謝や、手を動かす趣味の材料は、冬もほぼ同じ額が使われている。

この平均の向こうに、冬に趣味をやめる家計と、冬に趣味を足す家計が、それぞれどれだけいるのか。それは、この記事で使った表からは見えない問いで、私は答えを持っていない。

出典

確認の水準は、統計表(原データを集計)、抄録(抄録のみ)で示す。

  • 総務省統計局. 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表 第1-1表(用途分類・月次・全国と地方別). e-Stat 政府統計コード 00200561. 2019年・2023〜2025年の各月(統計表を集計)
  • 総務省統計局. 家計調査 家計収支編 第4-1表(品目分類・月次). 同上(統計表を集計)。宿泊料、パック旅行費、各品目の倍率はこの表による。第1-1表の月別から作る倍率とは、少し値が違う
  • 総務省統計局. 消費者物価指数(教養娯楽・光熱・水道)(実質化の試算)
  • 総務省統計局. 社会生活基本調査(調査期日は10月。季節別には使えない)
  • NHK放送文化研究所. 国民生活時間調査(実施時期は確認できなかった)
  • Thaler RH. 1999. Mental accounting matters. J Behav Decis Mak 12(3):183–206(抄録)
  • Heath C, Soll JB. 1996. Mental budgeting and consumer decisions. J Consum Res 23(1):40–52(抄録)
  • Beatty TKM, Blow L, Crossley TF, O'Dea C. 2014. Cash by any other name? Evidence on labeling from the UK Winter Fuel Payment. J Public Econ 118:86–96(抄録)
  • Beatty TKM, Blow L, Crossley TF. 2014. Is there a "heat-or-eat" trade-off in the UK? J R Stat Soc A 177(1):281–294(抄録)
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