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硫黄泉に浸かると頭がすっきりする、というのは本当なのか

硫黄泉に浸かると頭がすっきりする、というのは本当なのか

万座や日光湯元のような硫黄泉には、血管を広げて血流を良くするという話がついてまわる。硫化水素の作用から「ブレインフォグが晴れる」まで、どこまでが確からしい話なのかを追ってみる。

TOMOAKI··趣味

硫黄の匂いが強い温泉に入ると、なんとなく頭が軽くなる気がする。この「なんとなく」を、もう少しちゃんと調べられないかと思って、硫黄泉の作用について書かれたものを読んでみた。

硫化水素というガスの話

硫黄泉特有のあの匂いの正体は硫化水素で、これは水に溶けたイオンというより、脂に馴染みやすい気体分子として肌から入っていくらしい。体内では一酸化窒素と同じように、血管の状態を調整する信号として働くガス状の分子(ガストランスミッター)の一つとして知られていて、血管平滑筋のカリウムチャネルを開かせ、血管を緩めるという経路が報告されている。ここまでは、生理学の教科書レベルの話として一応筋が通っている。

血管が広がると、頭に何が起きるのか

血管が緩んで血流が良くなれば、脳への酸素供給も改善するはずだ、という推論は自然に思える。実際、都市生活で感じる「頭の重さ」を、脳内に溜まった代謝の副産物のせいだと説明する話をよく見かける。血流が良くなればそれが洗い流され、酸素とブドウ糖が届きやすくなる、という理屈自体は破綻していない。ただ、この理屈が正しいことと、「だから温泉に入ればブレインフォグが晴れる」という結論の間には、まだ埋まっていない距離があるように思う。血流と主観的な頭のすっきり感を直接結びつけて検証した研究を、自分はまだ見つけられていない。

万座、日光湯元、草津、高湯

硫黄泉といっても濃度も泉質もかなり違う。標高1800メートルの万座は硫黄の含有量が国内でも際立って高く、日光湯元は比較的中性に近いpHで長く浸かっていられる。草津は硫黄そのものより酸の強さが際立つ泉質で、高湯は刺激を抑えながら硫黄の効果だけを取りたい人向けとされる。こうした違いを知っていると、同じ「硫黄泉」でも体感がかなり違う理由が少し腑に落ちる。ただし、これは温泉地の案内やガイドブックに書かれている一般的な説明の域を出るものではなく、自分で数値を測って確かめたわけではない。

湯あたりについて

高濃度の硫黄泉に長く浸かると、めまいや強いだるさが出ることがある。これを「好転反応」という言葉で片付けている案内をよく見るが、実態は急激な血管拡張に体がついていけていないだけ、というほうがしっくりくる。入浴の前後にきちんと水分を取り、上がった後はしばらく横になる。派手な理屈を持ち出さなくても、この二つを守るだけでだいぶ違う。

頭がすっきりする感覚そのものは、多くの人が経験として語っている。ただ、それがどこまで硫化水素の作用によるもので、どこまでが単に温かい湯に長く浸かった、あるいは日常から離れた、という要因によるものなのかは、正直なところ自分にはまだ切り分けられない。