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休暇中に歩いた日数は、夏は冬の半分だった——冬に始めた趣味は、春まで続くのか

休暇中に歩いた日数は、夏は冬の半分だった——冬に始めた趣味は、春まで続くのか

冬に始めた趣味が春まで続くかを測った研究は見つからなかった。休暇中の速歩は夏が冬の半分、米国では新年のダイエット検索が82%増えたが、ある大学のジムの来館は12%増だった。

TOMOAKI··趣味

冬に始めた趣味は、春まで続くのか。年の暮れに新しい趣味を考える人は多いし、そう問われれば、何となく答えが浮かぶ。寒いから家の中のことは続きやすい、いや、寒いからこそ腰が重くなる、といった具合に。

この問いに、直接答える研究は、私が探した範囲では、ほとんど見つからなかった。趣味では見つからず、運動の継続を入会の月で比べたものは、査読を経た論文ではなく、学会の抄録が一件あるだけだ。あるのは、問いの断片を別々に測った研究だ。始める季節、始める日付、始めたあとの季節。この三つを一つの問いに束ねたのは、研究者ではなく、この記事のほうである。束ねたものが、どこまで持つのかを見ていく。

代用する材料は、運動、禁煙治療、子どものプログラムで、どれも趣味ではない。それでも、三つの手がかりは見つかった。松本市の実験では、休暇中に歩いた日数が、夏は冬の半分だった。米国では、年の最初の月のダイエット検索が、最後の月より82%多かったが、ある大学のジムの来館は、12%多いだけだった(比べているものは違う)。カナダの禁煙治療では、冬から春に始めた人のほうが、6か月後の成績が4.3ポイント低かった。どの研究を全文で読み、どれを抄録でしか確認できていないかは、出典の欄に書いた。冬に何を始めるかは、別の記事で扱った。ここで問うのは、始めたあとのことだ。おすすめの趣味は出てこない。

授業のある日は同じだった。差は、休暇のあいだにだけあった

いちばん近い実験から入る。Tanabeらが2018年に報告した、長野県松本市での運動の継続の実験だ。参加したのは、運動習慣のない女子大学生で、冬の群が47人、夏の群が48人。それぞれの季節の中で、速く歩く時間とゆっくり歩く時間を交互に繰り返す歩き方(インターバル速歩)をする群と、対照群に、無作為に分けられた。応募者は冬が320人、夏が217人で、参加したのは、その中の一部だ。

冬の実験は2011年11月11日から2012年4月6日まで、晩秋に始まり、大学の授業期間と、2月9日からの春休みにまたがっていた。夏の実験は2012年5月から11月まで、休暇期間は8月上旬から9月下旬だった。参加者は、2週間ごとに面談を受け、トレーナーの指導も受けている。自分から始めた趣味の継続ではなく、支えのある運動の継続だ。

結果は、休暇の期間にだけ、はっきり差が出た。「差が出た」は、偶然とは考えにくい差、という意味で、統計の言葉では有意と呼ぶ。休暇期間に歩いた日数は、夏が週2.1日、冬が週4.2日。目標に対する達成率は、夏が53%、冬が106%だった。ところが、授業期間では、達成率は夏が54%、冬が61%で、差は小さかった。休暇期間の最後の週の達成率は、冬の群が115%で、息切れの跡は見えない。夏の群は、同じ最後の週で48%だった。授業期間から休暇期間にかけての動きも、対照的だ。冬の群は61%から106%に上がり、夏の群は54%から53%と、変わらなかった。

数字から、「冬のほうが続く」と読みたくなる。それは正確ではない。正確な言い方は、「休暇のあいだに歩いた日数は、夏が冬の半分で、授業のある期間には差がなかった」だ。ただ、夏の群の記録には、気温との関係が見える。夏の休暇中、参加者は日没の2時間後ごろに歩き始めることが多く、気温が25度を超えると、歩き始めること自体が減った。夏の休暇期間の日中の気温は、平均24度だった。冬の授業期間は2度、休暇期間は3度である。

この実験は、気温を操作したわけではない。暑さが原因だと証明した実験ではなく、暑さと並んで起きた差を観察した、というのが正しい。ほかにも、結果を紛らわせる要因(交絡)がある。冬と夏で、別の年に、別の人を集めている。応募者に対する参加者の割合も、冬は約15%、夏は約22%と違う(私の概算)。夏のほうが、参加を決めた人の割合が高く、集まった人の性質が、季節ごとに少し違っていたかもしれない。季節への割り付けは、くじ引きではない。各季節に、別の学生を募集している。休暇の長さも位置も違う。冬の休暇は実験の終盤に、夏の休暇は中盤に来る。若い女子大学生で、松本という一つの地域だ。

もう一つ、取り違えやすい点がある。論文の抄録には、「冬の休暇に、夏の半分」とも読める一文がある。本文を確かめると、夏の週あたりの速歩のエネルギー消費が、冬の半分、という意味だった。向きを逆に読まないように、念のため書いておく。

同じ研究グループの別の報告(Masukiら、2015年)は、中高年696人が22か月続けた記録で、達成率の平均は70%だった。ただ、季節別の解析は、抄録には出ていない。冬のほうが続いたという結果を、ほかの研究が再現した報告は、見つからなかった。この一本の実験を、冬の継続の「証拠」と呼ぶには、薄い。

新年に大きく増えたのは、検索のほうだった

始める季節のかわりに、始める日付を見る。新年は、何かを始める日として、最も有名な日付だ。Daiらが2014年に報告した研究は、この日付の効果を、検索と来館の両方で測っている。

一つめは、米国の検索の記録だ。2004年1月から2012年6月までの、「diet」という語の検索数を見ると、年の最初の月は、最後の月より82.1%多かった。月の1日は月末より3.7%、週の最初の日は最後の日より14.4%、連邦の祝日の次の最初の勤務日は、ふだんの日より10.2%多い。

二つめは、米国北東部の大学のジムで、2010年9月から2011年12月までの442日間、利用者の入場を記録したものだ。ジムは、全学部生が無料で使える。個人と日の組み合わせにして、500万件を超える。ある日に来館する確率は、年の最初の月が最後の月より11.6%高く、週の初めで33.4%、学期の初めで47.1%、休暇明けで24.3%高かった。

この二つを並べると、落差が目立つ。検索は82%増え、来館は12%しか増えなかった。ただし、並べるには断りが要る。検索数の増加と、来館確率の増加は、物差しが違う。ジムのデータには、1回の1月しか含まれていない。1月は、春学期の初めでもあるので、年の効果と学期の効果は、重なって推定されている。新年の効果が小さい、と読み切ることはできない。新年よりも、学期の初めのほうが、来館の増え方は大きい。「始める日」は一つではなく、暦のあちこちに散らばっている、と読むほうが近い。

この「暦の区切りで動機が上がる」という発想には、後続の研究がある。31の研究をまとめたメタ分析(Wangら、2026年)は、平均の効果量gを0.33、研究間のばらつきを示すI²を90.8%と報告している。効果量は、差の大きさを、個人差の幅で割って揃えた値で、0.2が小さく、0.5が中くらいとされる。0.33は、小さいと中くらいのあいだにあたる。ばらつきの値は、100%に近いほど、研究どうしの結果が食い違っていることを意味するので、90.8%は、極端に大きい。対象は、消費や意思決定の場面の心理的な指標で、運動の継続ではない。0.33の信頼区間は0.050から0.614と広く、著者は、安定した効果とは言えない、とまとめている。新年に始めたほうが、その後の成績が良いのかを見た研究は、別の整理(Richardsら、2026年の、査読前のプレプリント)によれば、4件にとどまる。

ここで、季節の話に戻ってくる。新年は、暦の区切りであって、季節ではない。冬という条件が、新年の効果を支えているのか、新年という暦だけで足りるのかは、この研究では分けられない。南半球の新年は、夏の真ん中にあるはずだが、その比較は、私が探した範囲では見つからなかった。

もう一つ、日付の効果が検証された場面がある。Beshearsらが2021年に報告した、米国の大学職員6,082人を対象にした実験では、退職貯蓄を増やす手続きの案内に、「誕生日のあと」「春分のあと」「新年のあと」という区切りを添えた。誕生日のあとと春分のあとを使うと、貯蓄を増やすと選ぶ人が増える傾向があった。ところが、新年のあとでは、目立った増加が出ず、著者らも、想定外だったと書いている。区切りという言葉を添えるだけで動機が動くことがあるが、それが新年とは限らない。貯蓄は、一度の手続きで済む行動で、毎週続ける行動とは違う。

この違いは、冬に始める趣味にとって、無視できない。区切りは、「始める」ことを後押しするかもしれない。続けることを後押しするのかは、別の話だ。始めた日の勢いが、その後どれだけ続くのかは、ここまでの研究では分からない。ここまでの研究は、始める瞬間までしか、見ていないからだ。

決意した人の77%は1週間後に続き、19%が2年後に続いた

新年に始めた人が、そのあと続くのかは、別の研究が測っている。Norcrossらが1988年に報告した、新年の決意をした200人の追跡では、1週間後も続けていた人が77%、2年後が19%だった。時間が経つにつれて、続ける人の割合が、階段を降りるように減っていく。

2002年の報告(Norcrossら)は、決意した159人と、変えたい問題を抱えながら決意はしなかった123人を比べ、6か月のあいだ、ずっと成功が続いた割合が、46%と4%だったと述べている。ただし、決意した群と決意しなかった群は、くじ引きで分けたわけではなく、目標の達成は自己申告だ。決意するかどうかのほかにも、二つの群には違いがあるかもしれない。決意そのものが効いたとは言い切れない。

スウェーデンの1,066人が、新年の決意を、1年後に自己評価した大規模な実験(Oscarssonら、2020年)もある。成功したと答えた人は、1年後まで追跡できた回答者の55%。目標の立て方で差があり、何かを増やす、始める、という「接近」の目標は58.9%、何かをやめる、減らす、という「回避」の目標は47.1%だった。始める目標のほうが、続けた手応えを持ちやすい。ただ、これも自己評価だ。参加者は全員、2016年の年末に登録して、年明けから始めている。冬に始めた人の記録だが、夏に始めた人との比較はない。

これらの研究は、日付については教えてくれる。始めた日から時間が経つと、続ける人は減る。その減り方が、始めた季節で変わるのか、春に向けて緩くなるのか、これらの研究は測っていない。

花の咲く果樹と、芽吹いたばかりの木々が広がる春の野に、小さな人影が立つ風景画。ドービニー作、1862年。

春までの3か月は、習慣が根づくのに足りるのか

「春まで続くか」という問いには、時間の長さの問題が隠れている。12月に始めて春の彼岸まで続くなら、およそ3か月から3か月半、90日から110日ほどになる。この長さは、習慣が根づくのに、足りるのだろうか。

習慣が形成されるまでの日数は、何度も測られてきた。20の研究、2,601人をまとめたメタ分析(Singhら、2024年)は、日数の中央値を報告した4研究で59日から66日、平均を報告した研究で106日から154日、個人差を4日から335日と報告している。中央値だけを見れば、90日は足りる。平均を見ると、足りない。335日かかる人もいて、90日では3割にも届かない。「春まで続けば習慣になる」とも、「ならない」とも言えない幅だ。

最もよく引用されるLallyらの2010年の研究は、自宅で趣味を続ける動機の記事で詳しく扱った。そこで紹介した値も、人によって18日から254日と、大きく違っていた。ここでは繰り返さない。ただ、この種の研究は、季節を条件に入れていない。冬の90日と夏の90日が、同じ重さで数えられるのかは、私が探した範囲では、測られていない。

見方を変えると、「春まで続くか」は、季節の問題というより、始めた日から数えた日数の問題かもしれない。同じ90日でも、始めた季節が違えば、その間に来る休暇や天候の変化が違う。その変化が、続けにくい時期と重なるかどうかのほうが、効いている可能性がある。

冬から春に始めた治療は、続いたのか

「始めた季節」を直接測った数少ない研究は、趣味ではなく、治療の記録だ。Veldhuizenらが2021年に報告した、カナダ・オンタリオ州の禁煙治療には、85,869人が、454のクリニックで参加している。登録する人の数には、季節の偏りがあった。1月から4月は、6月から9月より、登録と受診の合計が20〜25%多かった。冬から春にかけて、禁煙を決意する人が増える。

ところが、6か月後に禁煙できていた割合は、逆の形をした。この指標は、自己申告の「7日間、吸っていない」で、回答が欠けた人は、統計の方法で補っている。成績が最も低いのは、2月から5月に登録した人で、最も高いのは、7月から11月に登録した人だった。最も低い月と最も高い月の差は4.3ポイント(95%信頼区間は3.2から5.5。推定値のぶれの幅の目安)で、小さいが、人数が多いので、偶然とは考えにくい。ただし、これは、すでに起きたことを後から調べる観察研究だ。登録した月以外の違い、たとえば、決意の強さや生活の状況も、季節とともに偏っているかもしれない。

始める人が最も多い時期に始めた人ほど、続かなかった。冬から春は新しいことを始めるのに向いた季節だ、という期待とは、少なくとも禁煙治療では、逆向きの結果が出ている。観察研究の読み方を、一つだけ添えておく。実験なら、人をくじ引きで分けて、季節の効果を取り出せる。観察研究は、すでに起きたことの記録を後から眺めるだけだ。春に禁煙を始める人は、新年の決意や、生活の区切りなど、夏に始める人と別の事情を抱えているかもしれない。記録を眺める限り、そうした事情と季節は、切り離せない。4.3ポイントという差は、季節の効果ではなく、始めた人たちの違いを映している可能性がある。禁煙は趣味と違い、やめることを続ける行為だ。同じ形で趣味に当てはまるとは限らない。

運動のほうでは、逆向きの報告もある。Behinらが2020年に学会で発表した抄録によると、慢性の病気を持つ224人の運動プログラムで、1月と2月に入会した人の完了率は55.8%、ほかの月に入会した人は39.5%だった(p=0.038、調整後のオッズ比は2.1)。無作為化はなく、査読を経た論文でもない。ただ、冬に始めた人のほうが続いた、という向きは、禁煙治療とは逆だ。同じ冬でも、何を始めるかで、向きが割れうる。

もう一つ、別の角度の結果がある。ニュージーランドで、子どもの肥満に対するプログラムに参加した397人を調べた報告(Derraikら、2026年)だ。体格の指標(同じ年齢・性別の子どもの平均からのずれを表すBMI標準偏差スコア)は、夏に入会した子どもで0.17、秋で0.19、冬で0.18下がった。春に入会した子どもだけが、偶然とは区別できない程度の低下しか示さなかった。6か月のプログラムの途中に夏休みが入るためだろう、と著者らは解釈している。南半球なので、春は9月から11月にあたる。始めた季節よりも、続けている途中に、休暇や気候の大きな変化が来たかどうかが、効いているように見える。

松本の実験の読みとも、重なる。始める季節が決定的なのではなく、始めたあとに、続けにくくなる時期が来るのかが、継続を左右している、という読みだ。

休暇は、冬には効き、夏には効かなかった

ここまでの研究のいくつかに、季節とは別の変数が絡んでいる。休暇だ。ただ、その効き方は、一方向ではなかった。

松本の実験で、夏と冬の差が出たのは、休暇の期間だけだった。冬の群は、授業期間の61%から、休暇期間の106%へと、達成率が上がった。夏の群は、54%から53%と、ほとんど変わらなかった。休暇は、冬には続けることを後押しし、夏には後押ししなかった。ニュージーランドの子どもの肥満プログラムでは、春に入会した子どもだけが下がらなかった。6か月の途中に夏休みが入るためだろう、と著者らは解釈している。米国のジムでは、休暇明けの最初の日の来館確率が24.3%高かったが、これは、学生が大学に戻ってくる効果も含んでいる。

休暇は、続ける時間の余裕を生む。授業や仕事の日課は、運動や趣味を一日のどこかに置くための足場にもなるが、休暇には、その足場が外れる代わりに、時間が空く。その時間を、使えるかどうかは、気温や天候といった、別の事情に左右される。冬の休暇では、空いた時間が歩くことに回り、暑い夏の休暇では、回らなかった。これは私の読みで、検証されたものではない。

この読みが正しいなら、「冬に始めた趣味が春まで続くか」は、年末年始の休暇と、春休みや年度の変わり目という、二つの休暇をまたぐ問いになる。冬という季節より、休暇という空いた時間を、その季節がどう使わせるかのほうが、効いてくる。

雪の降る夕方、雪に覆われた宿場の道を、笠と蓑の旅人が歩いていく浮世絵。歌川広重「東海道五拾三次之内 蒲原」。

冬という季節は、人をどれだけ動かさないのか

ここで、土台に戻る。冬は、人の活動量を、どれだけ落とすのか。季節と身体活動を扱った研究を、まとめたものがある。Tucker と Gilliland が2007年に、37の研究、29万人余りを対象に、季節と天候が活動量に関わることを整理している。Garrigaらが2022年に、26の研究、約9,300人、18か国をまとめた研究でも、同じ方向が報告されている。

ただ、変わる大きさは、劇的ではない。Maらが2006年に、米国の593人を1年追った研究は、身体活動が冬に最低、春に最高になることを示したが、著者自身が、変動は小さいと結論している。体重の季節変動も、約0.5キログラムだった。中国の5都市の歩数を調べた報告(Hoら、2022年)では、寒冷から温帯の3都市では、歩数が最大になるのは気温16〜19.3度のときで、極端に暑い日には、1日あたり800〜1,500歩減っていた。

これらを重ねると、冬の活動量は、確かに下がる。ただ、研究ごとに測っているものが違うので、冬の下がり幅と夏の暑さの下がり幅を、同じ物差しで比べることはできない。言えるのは、暑さによる歩数の減少が、報告されている、というところまでだ。松本の実験で、夏のほうが続かなかったことと、矛盾はしない。

「続いた」は、何で測られているのか

集めた研究を並べて気づくのは、「続いた」の中身が、研究ごとに違うことだ。

松本の実験では、目標に対する達成率と、週あたりの歩行日数だった。目標がはっきりしていて、記録も細かい。100メートルを走れた人と、マラソンを走れた人を、同じ「走れた」で数えるような話で、物差しが違うと、結果は並べられない。米国のジムの研究は、ある日に来館したかどうか、という確率で、続いたかではなく、その日に来たかを見ている。新年の決意の研究は、1年後や2年後に、本人がどう答えたかだ。禁煙治療は、6か月後に煙草を吸っていないという、一時点の結果。子どものプログラムは、体格の指標の変化で、続けたことの結果を、間接的に見ているにすぎない。

趣味の「続いた」は、これらのどれとも違う。楽器を、毎日触れていれば続いているのか。月に一度、思い出したように弾けば続いているのか。やめたと感じていなければ、続いているのか。何を続いたとするかで、結論は動く。先に挙げた研究の差も、季節の差である前に、測り方の差かもしれない。

だから、冬の趣味についての数字を見かけたら、その数字が、何を数えているのかを、先に見たほうがいい。達成率なのか、来館回数なのか、自己評価なのか。同じ「続いた」という言葉が、別の物差しの上に、並べられていることがある。

趣味に引き寄せると、何が言えなくなるか

ここまでの材料を、趣味の問いに戻して使うとき、言えなくなることを整理しておく。

一つめは、気温の影響の受け方が、趣味の種類で違うことだ。歩く、走るのような、外で体を動かす行為は、気温の影響を直接受ける。編み物、楽器、読書、料理のような、座ってする趣味は、気温に左右されにくいだろう。松本の実験の結果が、座ってする趣味にそのまま当てはまる根拠は、ない。

二つめは、参加者の性質だ。松本の実験は、志願した、運動習慣のない若い女子大学生が、トレーナーの支えを得て続けた記録だ。禁煙治療は、医療のクリニックに通う人の話で、肥満プログラムは、子どもと家族の話だ。いずれも、自分で趣味を選び、一人で続けるという状況とは違う。

三つめは、趣味そのものの、継続のデータがないことだ。楽器、手芸、読書、料理を、いつ始めて、いつまで続けたかを、季節別に記録した公的な統計は、私が探した範囲では見つからなかった。日本のフィットネスクラブの月別の売上や会員数は、経済産業省の統計に載っているが、冬と夏の差を出せる形では取り出せなかった。

支出の側からなら、わずかに手がかりがある。総務省の家計調査(二人以上の世帯)を、2019年、2023年、2024年、2025年の4年分で見ると、冬(同じ年の12月と1・2月)の月謝類は、夏(6〜8月)の4年平均で約1.05倍、スポーツクラブの会費は1.00倍、手芸・工芸材料は1.06倍だった。年別には、月謝類が0.94から1.16、手芸・工芸材料が0.94から1.14と動き、手芸・工芸材料は月に56円から59円という小さな額だ。2025年は、この3品目とも、冬が夏より約6%低かった。習い事や趣味の材料への支出は、冬になっても、大きくは減っていない。ただし、これは世帯が使ったお金の記録で、続けた人の割合ではない。月謝は、通っていなくても払い続けることがありうる。支出が減らないことは、続いていることの証拠にならないが、少なくとも、冬に手を引く、という動きは、この統計には出ていない。

こうして見ると、記事の冒頭の問いに、答えは出ない。ただ、答えが出ないことの中身は、いくつかに分けられる。始める季節の効果は、向きが割れていた。禁煙治療では、冬から春に始めた人のほうが続きにくく、運動プログラムの学会抄録では、1・2月に始めた人のほうが完了していた。始める日付の効果は、暦の区切りごとにばらつき、新年は、その一つにすぎなかった。始めたあとの季節の効果は、暑さが壊したとは言い切れないが、夏の休暇のほうが続かなかった場面があった。三つとも、「冬」という一語が、期待ほどには、一つの向きに働いていない。

測られていたのは、束ねる前の部分だけだった

冬に始めた趣味は、春まで続くのか。この問いに、「続く」とも「続かない」とも言える研究は、私が探した範囲では、ない。代わりに、問いを三つに分けて、それぞれに、小さな手がかりが見つかった。

始める季節は、禁煙治療と運動プログラムで、向きが割れていた。どちらも観察で、因果は言えない。始める日付は、暦の区切りで動機が上がることがあるが、新年では目立った効果が出ない実験もあり、その上昇が、あとの継続まで届くのかは、測られていない。始めたあとの季節は、夏の休暇のほうが、冬の休暇より続かなかった例があった。

三つを束ねて「冬に始めた趣味」とするなら、その束ね方自体が、まだ誰にも検証されていない仮説だ。この記事が示したのは、仮説の周りで、何が測られていて、何が測られていないのか、という地図にすぎない。地図の空白に置いてみると、問いは少し具体的になる。始める季節ではなく、続けにくくなる時期は、いつ来るのか。

出典

確認の水準は、全文(本文を読んだ)、抄録(PubMed等の抄録のみ)で示す。

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  • Masuki S, et al. 2015. The factors affecting adherence to a long-term interval walking training program in middle-aged and older people. J Appl Physiol 118(5):595–603(抄録)
  • Dai H, Milkman KL, Riis J. 2014. The fresh start effect: temporal landmarks motivate aspirational behavior. Manage Sci(全文)
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  • Richards 他. 2026. 新年の効果の整理(PsyArXiv のプレプリントの要旨)
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  • Lally P, van Jaarsveld CHM, Potts HWW, Wardle J. 2010. How are habits formed: modelling habit formation in the real world. Eur J Soc Psychol 40:998–1009(要旨。詳細は既出記事)
  • 総務省統計局. 家計調査(家計収支編・二人以上の世帯)月別(2019年、2023〜2025年)
  • 経済産業省. 特定サービス産業動態統計調査(フィットネスクラブの月次の売上・会員数。冬と夏の差は取り出せなかった)
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