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卒業したランドセルを、また使えるものに仕立て直す
6年間使ったランドセルを、ミニチュアにして飾るのではなく、日々使える財布やカードケースに仕立て直す。なぜそちらの方が長く付き合えるのか、リメイクの実際について考えてみる。
卒業を迎えたランドセルを、押し入れの奥にしまい込んだままにしている家は多いと思う。捨てるには忍びないが、かといって毎日目にするものでもない。
ミニチュアにすると、たいてい飾りっぱなしになる
リメイクの選択肢としてまず名前が挙がるのは、縮小版の「ミニランドセル」にして飾ることだと思う。ただ、これは本質的に置物で、日常的に手に取るものではない。棚の隅に置かれたミニチュアは、そのうち視界から外れ、大掃除のたびに「どうしよう」と持て余す対象になりやすい。
財布に仕立て直すという選択
もう一つの選択肢が、革の部分を財布やカードケースに作り替えることだ。こちらは毎日手に取る道具になる。開くたび、革の質感や、通学中についた小さな傷跡に触れるたびに、6年間のことが多少なりとも思い出される。使うという行為そのものが、記憶とのつながりを保つ手段になる。
上級モデルのランドセルの「かぶせ」に使われているコードバンや牛革は、今では手に入りにくい素材でもある。それを仕立て直して使い切るのは、素材への向き合い方として理にかなっていると思う。数年かけて馴染んだ革には、新品にはない風合いがすでに備わっている。
解体という下準備
ランドセルは、一般的な革製品よりもかなり頑丈に作られている。型崩れを防ぐための芯材が強く接着されていて、これを一枚ずつ丁寧に剥がし、財布として扱いやすい厚みまで漉く作業には、それなりの技術が要る。
元のカーブや、開いてしまった針穴をどこに残すかも、作り手の判断が分かれるところだ。傷を隠すのではなく、あえて目立つ位置に配置してくれる作り手もいるらしい。断面(コバ)を何度も磨いて仕上げる工程の丁寧さが、出来上がりの印象を大きく左右する。
依頼する前に見ておきたいこと
自分で選ぶとしたら、次のような点は事前に確認しておきたい。
- 断面の仕上がりが分かる写真が公開されているか。磨き込まれた断面は、手間のかけ方の目安になる。
- 刺繍やブランドの刻印など、元のディテールをどこまで活かしてくれるか。
- ファスナーや内側の生地といった、目立たないが毎日触れる部分の作りにも気を配っているか。
次の世代へ渡すという形
作り替えたものを自分で使う以外に、子供が大人になったときに贈る、という選び方もある。かつて小さな背中を支えていたものが、形を変えて次の生活の中に戻っていく。押し入れにしまっておくよりも、ランドセルという道具にとって自然な着地点のように思える。
リメイクは、過去への執着でも、捨てる罪悪感からの逃避でもない。すでにある物語を、今の生活の中でまた使える形に整え直すという、それだけの作業なのだと思う。
