remake
2026
2024

ふすまを自分で貼り替える、という賭け
原状回復では、通常の使用による変化は戻さなくてよい。一方で襖紙は、クロスと違って経過年数で負担が目減りしない。自分で貼り替えた賃貸のふすまを、ガイドラインと裁判例から見直す。

タンスに眠る着物になぜ鋏が入れられないのか
譲り受けた着物を前に手が止まるのは優柔不断のせいではない。拡張自己、保有効果、イケア効果、贈与論、そして縮小した着物市場のデータから、その迷いの正体を分解する。

子どもが覚えていない時期のために、なぜベビー服を残すのか
ベビー服が捨てられないのは、子どもの思い出のためだと説明されがちだ。だが子ども自身は、その時期をほとんど覚えていない。移行しているのは誰で、証拠として残されているのは何の記録なのか——幼児期健忘の研究と発達・消費者研究から、この矛盾を辿る。

シャツより自由な布、ハンカチだけが持つ作り替えの選択肢
鼻をかむ布としての地位を失ったハンカチは、実はシャツやネクタイより作り替えの選択肢が多い。ラビッシュ理論とアフォーダンス理論から、その理由を追う。

ワイシャツのリメイクで小物を作る前に、2700リットルの水の話
着なくなったワイシャツをハンカチやコースターに仕立て直す前に、水フットプリントの試算で語られる2700リットルという数字を確かめる。リメイクが先送りできるものは何か、手を動かす時間の中身とあわせて考える。

古着を切る前に、何を壊しているのかを考える
環境省の令和4年度推計を開くと、リユースの約半分は海外輸出、リサイクルの過半はウエスと反毛だった。古着を切る前に、手元の一着に残る道を並べる。

ネクタイをスカーフにリメイクする手順の流れと、残るもの
ネクタイをスカーフにリメイクする手順の流れを、構造、アイロン、端の始末の方法ごとに、資料から整理する。そのうえで、仕立て直しで消えるものと残るものをたどる。

羊毛のうろこは、なぜ一方向にしか動かないのか
古いセーターを切る前に湯で縮ませてフェルト化させる作業には、繊維一本ごとに仕込まれた一方通行の仕組みと、後戻りできないことへの心理的な抵抗の両方が関わっている。損失回避、決定の不可逆性、そしてモノの「単一化」をめぐる研究を手がかりに、鋏を入れる前の逡巡を分解する。

服は全部残せなくても、少しなら残せるという理屈
着なくなった服の襟を一片だけ切り取って、残りは手放す。全部を諦めることと、少しも諦めないことの間にある、この中途半端な選択の心理的な仕組みを、記念品の実験と、割れた粘土板の歴史から追う。

ジーンズの色は、外側からしか抜けない
藍は繊維の芯まで染まらない。色落ちは劣化ではなく、表面だけが摩耗して白い芯が覗く現象だ。この一点をたどると、偽の色落ちを作るために命を落とした工場労働者や、由来のない「それらしさ」を売る市場が見えてくる。膝の薄くなったジーンズを前にして、生地の物質的な性質から手の入れ方を考え直した記録。

古い食器棚を直す前に、確かめておきたいこと
熊本地震の戸建調査で、固定していない食器棚は32.2%、固定した棚は14.8%が転倒・落下・移動した。「自然な」亜麻仁油からもホルムアルデヒドが出る。三つのリメイクの手順の前に、確かめたい数字。

本棚を外すと、机は机に戻る
心理学者Dunckerが1945年に示した「機能的固着」は、ロウソクと画鋲の箱の実験に由来する。学習机を大人の机に作り替えるとき、本当に外す価値があるのは天板の傷ではなく、この固着の方かもしれない。
