趣味
2024

シール集めの心理を、五つの理論をあてても説明しきれない
「集めてどうするの」に答えにくい、シール集めという趣味。発達心理学、ノスタルジー研究、パターン認識の快感、完成への衝動——地味な収集癖を、いくつかの理論で分解してみる。

物を持たない趣味は、本当に身軽なのか
選択肢が多いと選べなくなる、というジャム実験で知られる効果は、ある統合研究では平均でほぼゼロだった。物を減らせば身軽になるという前提を、研究で疑ってみる。「ミニマリスト 趣味がない」という検索語の裏にある空白を、日本の統計とあわせて読む。

上手く描こうとするほど、絵が下手になる理由
絵を描くときに働く「うまく描けているか」という採点は、上達したい気持ちよりも、下手だと思われたくない恐れから来ていることが多い。達成目標理論と評価予期の実験から、その構造を考える。

女性の「かっこいい趣味」は珍しいのか、誰の視線で決まるのか
バイクや登山。女性がやると「かっこいい」と言われる趣味は、日本の統計でどれくらい珍しいのか。趣味ごとに差の大きさがまるで違うことを見たうえで、その評価が誰の視線で決まるのかをたどる。

おじさんの趣味が続かない理由と、続く趣味の見分け方
おじさんの趣味探しは、リストを増やす作業ではない。キャンプ道具を買い、サウナに通い、カメラを手にした人のうち、一年後も続けている人はどれだけいるか。趣味が続かない構造と、心理学の研究が示す「続く条件」について。

十七歳と六十代のあいだ、学ぶ脳に何が起きているか
文法を学ぶ力は十七歳ごろまで保たれ、その後は低下していく。六十代の脳もジャグリングで灰白質を増やすが、その変化は練習をやめると減っていく。データは「もう遅い」を否定する一方で、もっと居心地の悪い条件を突きつけてくる。

肩書きを失う痛みと、頂点に居続けるコスト
役職定年や早期退職で肩書きが外れる50代。自分が何者かは、属している集団の中での位置づけによって決まっていたのだとしたら、その位置が外れたとき、人の中では何が起きているのか。社会的アイデンティティ理論と、地位とストレスをめぐる研究を手がかりに考える。

田舎で趣味の時間ができる、というのは本当か
田舎に住めば趣味の時間ができるという通念を、通勤時間の統計と社会関係資本の研究で分解する。出てくるのは自由な時間ではなく、別の種類の拘束だった。

コスパのいい趣味。月契約のジム会員の8割は都度払いが得だった
コスパの分母は値札だけで決まらない。月契約のジム会員の8割は都度払いのほうが安く、経験にお金を使う優位は補正で縮む。図書館から道具まで、よく挙がる六つの趣味の向き不向きを見直す。

退職後に消えるのは肩書きではなく、時間の枠組みだ
定年の翌日、鳴らない目覚まし時計の前で覚える戸惑いの正体は、居場所の喪失というより、時間そのものを区切っていた外枠の消失に近い。時間構造理論と、自由時間と幸福度をめぐる逆U字の研究を手がかりに、「暇を持て余す」という経験の中身を分解する。

25〜44歳の平日19時以降、自由時間116分に趣味は19分
平日19時以降に残る自由時間は、25〜44歳の有業者の全員平均で116分。趣味・娯楽に分類されるのは19分だった。意志力の枯渇説が崩れたあと、夜の使い方を統計と回復の研究から並べ直す。

趣味のリストを55個に増やしても、たぶん何も解決しない
趣味が見つからない人に趣味リストを増やして渡すことは、本当に助けになるのか。選択肢を増やせば選びやすくなる、という前提を疑う。ジャムの実験、最大化者という気質、そして「いつでもやめられる」ことの意外な副作用について。

中学生の半数は平日3時間以上自由、趣味探しに足りないものは
中学生の趣味を探すとき、足りないのは時間ではなく行き先かもしれない。NHKの調査、図書館や部活の制度、男子・女子で一覧を分けない理由をたどり、そのあと、続く趣味の見分け方まで。

育児中に消えるのは、自分ではなく「汚染された時間」かもしれない
育児中によく使われる「自分を取り戻す」という言い方は、成り立たない前提の上に立っているかもしれない。母になることで人がどう変わるかという研究と、育児期の時間がなぜ休息として機能しにくいのかという研究、その両方から自分の時間の話を考え直す。

曲がった道の由来を知ると「必然だった」と感じてしまうのはなぜか
運河の跡だとわかった曲がり道を、古地図で確かめる。その満足感の正体を、後知恵バイアスとナラティブ記憶の研究から疑ってみる。

かっこいい特技を選ぶ前に、高校生の趣味と特技の分かれ目
かっこよさを調べた研究から、かっこいい特技を選ぶときの三つの型を考える。そのあと、ご褒美が興味を削いだ幼児の実験と、「趣味」の語がない履歴書の様式例をたどって、趣味と特技の分かれ目まで。

パソコンでできる趣味。ゲーム時間と幸福の関連は小さい
パソコンでできることを、見る・聴く、遊ぶ、作る、コードを書く、学ぶの五つに分けて、向き不向きを並べる。ネット利用者でパソコンを使う人は53.2%。遊んだ時間の長さと気分の関係は、38,935人の追跡でもほぼゼロだった。

「私」の時間をどう使うか
家事や育児を担う人にとって「自分の時間」がなぜ確保しにくく、確保できても罪悪感を伴うのか。メンタルロード研究や時間貧困論、余暇の質の男女差から考える。

花を趣味に——押し花からガーデニングまで、落ち着きの正体
花の趣味には、押し花からベランダガーデニングまで幅がある。花を眺めると落ち着くという話にはたいてい出典がない。その落ち着きの正体を探る。

100円の材料で作る人が買っているのは、安さだけではなかった
100均の利用調査で、重視点の最多は品揃え、利用理由の上位は価格だった。プロスペクト理論、制約と創造性、IKEA効果を原典にたどると、千円と百円の痛みは理論の上では金額の差ほど開かず、安さの効果は実験でも割れていた。