趣味
2025

瞑想が続かないのは、効果を求めるからかもしれない
瞑想は効果を求めるほど続かなくなる。その逆説を、皮肉過程理論とメタ分析の中身から確かめる。

標高1,800mの温泉で、何もない時間を過ごす——万座の硫化水素は、1952年の論文が紹介する報告ですでに日本一とされていた
万座の硫化水素は、1952年の論文が紹介する報告ですでに日本一とされていた。国が浴室の湯面で許す20ppmは、においを感じる濃度の800倍にあたる。小串鉱山の山崩れや冬期閉鎖の数字も、公的な資料に当てて確かめた。

自炊湯治の「本来は三週間」は、どこまで本当か
自炊湯治の「本来は三週間」を資料で確かめる。湯治場時代の滞在は7〜14日と言われ、箱根では一夜湯治が事実上公認され、国内の観光宿泊旅行は1泊が約6割。効能・休暇・自炊・郷愁を数字と資料で疑う。
2024

部屋の広さ感を左右するのは配置か——模様替えの助言を実験で確かめる
対角線上に視線を通す、家具の高さをそろえる——模様替えの定番の助言は、実験で確かめられていたのか。家具の有無と壁・天井の明るさを調べた研究と、新しさがもたらす高揚の短い寿命から考える。

「集中が戻るまで23分」の出どころは、インタビュー記事だった
「通知で途切れた集中は23分で戻る」の数字は2006年のインタビュー発言で、論文の値は別だった。机のスマホの追試、SNS断ち実験の割れた結果、日本の利用時間を、原典にたどった。

日記が三日で終わる理由は、たぶん「義務」よりも根が深い
自己表現のはずの日記が、なぜ長続きしないのか。表現的筆記の効果量、報酬が意欲を削る実験、自伝的記憶の書き換え――三つの異なる研究群をたどると、「義務感さえなくせば続く」という単純な話ではないことが見えてくる。

森林浴の免疫の報告は、12人の男性が対象だった
森林で2泊するとNK細胞の活性が上がる、という報告の対象は男性12人だった。コルチゾールの野外実験は男子大学生280人。メタ分析では予測区間がゼロをまたぐ。森林浴の数字を原典にたどって読み直した。

趣味とは何か——「鏡」という言い方を、実験の細部で疑う
趣味には承認欲求や嫉妬が映る、とはよく言われる。だが同じ賞状でも、予告された子どもだけが絵を描かなくなり、不意にもらった子どもは変わらなかった。趣味を「鏡」にたとえる言い方がどこまで通用するのか、実験の細部から確かめてみる。
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タンスに眠る着物になぜ鋏が入れられないのか
譲り受けた着物を前に手が止まるのは優柔不断のせいではない。拡張自己、保有効果、イケア効果、贈与論、そして縮小した着物市場のデータから、その迷いの正体を分解する。

子どもが覚えていない時期のために、なぜベビー服を残すのか
ベビー服が捨てられないのは、子どもの思い出のためだと説明されがちだ。だが子ども自身は、その時期をほとんど覚えていない。移行しているのは誰で、証拠として残されているのは何の記録なのか——幼児期健忘の研究と、発達・消費者研究の知見から、この矛盾を辿る。

シャツより自由な布、ハンカチだけが持つ作り替えの選択肢
鼻をかむ布としての地位を失ったハンカチは、実はシャツやネクタイより作り替えの選択肢が多い。ラビッシュ理論とアフォーダンス理論から、その理由を追う。

ワイシャツのリメイクで小物を作る前に、2700リットルの水の話
着なくなったワイシャツを解体し、手縫いで仕立て直す時間の中身まで考えた記録。Tシャツ一枚ぶんのコットンには、水フットプリントの試算でおよそ2700リットルの水が使われる。だがその数字を知っても、リメイクの効果は思うほど大きくない。

古着を切る前に、何を壊しているのかを考える
環境省の令和4年度推計を開くと、リユースの約半分は海外輸出、リサイクルの過半はウエスと反毛だった。古着を切る前に、手元の一着に残る道を並べる。

ネクタイをスカーフにリメイクする手順の流れと、残るもの
ネクタイをスカーフにリメイクする手順の流れを、構造、アイロン、端の始末の方法ごとに、資料から整理する。そのうえで、仕立て直しで消えるものと残るものをたどる。

羊毛のうろこは、なぜ一方向にしか動かないのか
古いセーターを切る前に湯で縮ませてフェルト化させる作業には、繊維一本ごとに仕込まれた一方通行の仕組みと、後戻りできないことへの心理的な抵抗の両方が関わっている。損失回避、決定の不可逆性、そしてモノの「単一化」をめぐる研究を手がかりに、鋏を入れる前の逡巡を分解する。

服は全部残せなくても、少しなら残せるという理屈
着なくなった服の襟を一片だけ切り取って、残りは手放す。全部を諦めることと、少しも諦めないことの間にある、この中途半端な選択の心理的な仕組みを、記念品の実験と、割れた粘土板の歴史から追う。

ジーンズの色は、外側からしか抜けない
藍は繊維の芯まで染まらない。色落ちは劣化ではなく、表面だけが摩耗して白い芯が覗く現象だ。この一点をたどると、偽の色落ちを作るために命を落とした工場労働者や、由来のない「それらしさ」を売る市場が見えてくる。膝の薄くなったジーンズを前にして、生地の物質的な性質から手の入れ方を考え直した記録。

古い食器棚を直す前に、確かめておきたいこと
熊本地震の戸建調査で、固定していない食器棚は32.2%、固定した棚は14.8%が転倒・落下・移動した。「自然な」亜麻仁油からもホルムアルデヒドが出る。三つのリメイクの手順の前に、確かめたい数字。

傷んだ家具を直したくなるのは、本当にモノへの愛着のせいか
傷んだダイニングテーブルを磨き直しながら、なぜ人はモノを直したくなるのかを考える。授かり効果、IKEA効果、所有と自己の心理学から、修理という行為に潜む勘定を検討する。

本棚を外すと、机は机に戻る
心理学者Dunckerが1945年に示した「機能的固着」は、ロウソクと画鋲の箱の実験に由来する。学習机を大人の机に作り替えるとき、本当に外す価値があるのは天板の傷ではなく、この固着の方かもしれない。