趣味
2026

台所の精度は、道具の数字だけでは決まらない
55℃で止めたひき肉のパティの47%が、焼けたように見えた。色や感触の判断と、温度計・スケール・タイマーの精度を、実験と仕様で確かめ直した。

「美味しそう」という予感を、少し疑ってみる。――ステーキを物理法則で焼くための手順
室温に戻しても灰色の層は薄くならず、52℃で下ろす焼き方は殺菌を目的にしていない。ステーキの焼き方を、温度・塩分・安全の面から文献で確かめ直した。

包丁を研いでいる間だけ、頭が静かになる理由
包丁を研いでいる間は頭が静かになる、という話をよく聞く。禅的な説明にも、脳の一部が沈黙するという説明にも頼らず、注意資源の奪い合いという地味な仕組みから探る。研ぎそのものを調べた研究は見つからなかったので、隣の実験からの推測として。

コレクション趣味とためこみ症を分けているのは、「選別」だけだ
切手、レコード、鉱石――集める対象は人それぞれでも、その衝動の裏にある仕組みには共通点がある。統制欲求、拡張自己、ホーディングとの境界線。コレクションという趣味を、研究の手がかりから読み解く。
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「趣味を仕事に活かす」という話の、どこまでが本当なのか
離れた趣味を掛け合わせれば市場価値が上がる、という話をよく見かける。ただ転移の実験では、数分前に読んだ物語ですら、ヒントなしでは15人中3人しか使えなかった。持っていることと、思いつくことは別だった。

趣味は「精神的インフラ」になるのか
「趣味が多いほど心は折れにくい」を支える心理学の仮説、自己複雑性は、統合研究では支持が弱かった。気根の比喩を、自己複雑性、デフォルトモード、注意回復理論から確かめ直した。

四十年続く趣味には、何が共通しているのか
四十年続く趣味は、始め方が良かった結果ではないらしい。継続性理論、退職後のアイデンティティ研究、生きがい研究、認知症をめぐる論争、老いに伴う選択性理論を手がかりに、趣味が人生の断絶をまたいで生き延びる仕組みを考える。

趣味に「Lv.1〜Lv.3」を割り振ることの効き目と副作用
趣味の上達を「スキルツリー」として段階づける語り方には、ゲーミフィケーション研究の裏づけがある。ただしその効果は思ったより不安定で、効いている理由も思ったより一枚岩ではない。

趣味を選ぶ基準を、他人の反応から動機に移してみる
約束された賞状で、絵を描く時間は半分になった。ただし、この効果がどこまで一般に通じるかは割れている。趣味の選び方を、報酬・予測・過去の行動の研究で確かめ直した。

「0円で自分を取り戻す」と言う前に、罪悪感の話をしたほうがいい
母親が自分のために時間を使うことへの罪悪感は、支出を0円にしても消えない。インテンシブ・マザリング規範や汚染された時間、認知労働の研究を手がかりに、金額を操作することが実は何を解決していないのかを検討する。

庭の雑貨を、スタイルから選ぶのをやめてみる
園芸グッズを「北欧風」「アンティーク風」で選ぶ行為の裏には、見た目の一貫性が生む安心感と、実際の園芸継続や満足度との間の意外な断絶がある。環境心理学の選好理論、園芸と健康の効果量、IKEA効果までを手がかりに、見た目と実用の対立そのものを問う。
2025

趣味の道具の収納スペース。キャンプする人の7割は年4日以下
住まいの不満は、広さより収納のほうが11.7ポイント高い。一方、キャンプをする人の72%は年に1〜4日しかしていない。収納の話を、使う頻度と置き場所の側から、統計と研究で見直す。

「クレジットカード一枚分」を疑う——プラスチックを減らすという遠回りな趣味
プラスチックを減らす行為から環境負荷という建前を外すと、何が残るのか。クレジットカード一枚分のマイクロプラスチック、モラルライセンシング、二十社の生産量——数字を追いながら、素材を選び直すという行為の実質を確かめる。

捨ててしまう前に。古いものから生まれるアップサイクルの手仕事
スチール缶の94.4%は資源に戻る。それでも瓶や缶を鉢にする意味はどこにあるのか。アップサイクルの環境効果と、4つの工作の落とし穴を、統計と研究で確かめた。

「エシカルな趣味」は、買うことから始まっている
綿のトートバッグが元を取る回数は、7,100回とも52回とも言われる。数字を決めた指標と、モラル・ライセンシングの追試を読み直し、「エシカルな趣味」の成り立ちを問い直す。

日記が三日で終わるのは完璧主義のせい、という通説を2007年のメタ分析は否定している
日記が三日で終わる原因を「完璧主義だから」で片づける自己診断は、たいてい何かを言い当てた気にさせてくれる。だが完璧主義は一枚岩の性格特性ではなく、その中身によって先延ばしを強めもすれば弱めもする。多次元的完璧主義の研究をたどると、犯人捜しの単純さがまず崩れていく。

朝に日記を書くと変わるのは、頭が冴えるからではなく鈍るからかもしれない
朝に書く日記は、夜に書くものと調子が違う、という話をよく聞く。「寝起きの脳は素直」という説明を、概日リズム・意志力・個人差の研究に照らして確かめると、朝が特別に見える理由は、思われているのとは違う場所にありそうだ。

空間と時間を編集する「プランター・ガーデニング」、という視点
ペチュニアは水を4分の1にすると花が71輪から33輪に減った。鉢底石の定説は二度ひっくり返った。三角形の配置や青と白は根拠が見つからなかった。ベランダの花を原典で確かめ直した。

日本の湿気の中で、ドライガーデンをやるということ
日本の年降水量は世界平均のおよそ2倍、東京の夏は4か月にわたって湿度が7割台で張りつく。乾燥地の植物をそこに植えるとき、先に決めるべきは株ではなく、水がどれだけ速く抜けるかだった。

日常に奇妙さを足す七つの実践に、実験の裏づけはあったか
録音、言葉の切り貼り、編み物、テラリウム。気晴らしとして勧められる七つの実践を、実験の数字で確かめた。実践そのものを直接検証した研究は見つからず、近い研究の結果も割れていた。