記事一覧

収集癖の心理。才能か、ためこみ症か、強迫的購買か
収集癖の心理を、個人差から読む。ためこみ症の双子研究が示す遺伝率、コレクターのパーソナリティ、強迫的購買障害との境界線から、集めるという行為の違いを追う。

買い替えられた家電の3割は、まだ動いていた——使い捨ての境目
ある実験では、修理の手配にわずかな手間が加わるだけで、毎回修理を選ぶ人が42%から35%に減った。同じ手間を買い替えに足しても、選択はほとんど変わらない。その非対称から、直せるモノと直せないモノの分かれ目を考える。

孤立しないコレクション。家族とどう共存するか
100組の夫婦の喧嘩日誌では、お金の喧嘩は回数で5〜6番目だった。それでも、ほかの話題より持ち越されやすかった。家族がコレクションを嫌う理由を、物の量と並んで「見えなさ」から考え直す。

道具の手入れを、儀式と呼ばずに書いてみる
革や金属の手入れを「儀式」と呼ぶ記事はよくあるが、心理学が定義する儀式とは、道具の手入れとはむしろ噛み合わない代物だ。手を動かす時間の正体を、統制感・自動化・労力の正当化という三つの研究から解体する。

趣味が続かない理由は「動機」のズレ? 没頭を生む3つのタイプと、余白の選び方
好みに合わせて活動を割り当てても、継続は変わらなかった実験がある。趣味が続かない理由を「動機のズレ」だけで説明できるか、運動や余暇の研究で確かめ直した。動機と過ごし方を12問で数える診断つき。

岳温泉、客は4割減、物悲しさはない。
福島県の岳温泉に三泊した。入込客は2010年の約六割、県全体は震災前を上回ったのに。人の少なさ、商売っ気のなさ、昭和の残骸、手入れの続く管。研究と資料で確かめられたこと、そうでないことを分けて書く。

音声メディアの「声」は、何をしているのか
ある平日にラジオを聴いた人は6.5%、聴いた人は平均3時間。聴くと読むの理解度、作業中の話し声、おすすめ機能、寝る前の音声を、研究で確かめ直した。

趣味診断について、実際にやっていることを説明する
「あなたの深層心理を読み取る」という宣伝文句を取り下げた後、診断というジャンルそのものを疑ってみる。ForerからMBTI、血液型性格判断、占星術の二重盲検試験まで、当てはまった感覚の正体を辿る。

「贅沢な不便さ」と言いたくなるときに疑っておきたいこと
フィルムカメラのダイヤルを回す手応えを「贅沢な不便さ」と呼ぶ言説を、不便益の研究、効果ヒューリスティック、そして「切断できることは特権である」という指摘から検証する。

秘境に行かなくても、休める場所はあるかもしれない
休暇の効果は1週間で消えるのか。二つのメタ分析の答えが割れている。都内の銭湯は2,687軒から417軒に減った。遠さの代わりを都市に探して、確かめ直した。

「ソロキャンプの次」を探す前に、飽きの正体をばらしてみる
ソロキャンプに飽きたとき、失ったのは何だったのか。自己決定理論の「自律」は独立とは別物で、難問で自信を揺さぶられた群では自分で組み立てたい人が58%(易問の群は33%)。次の手段を四つ、メリットとデメリットで並べる。

分解できないモノを、所有と呼んでいいのか
1932年、ある不動産ブローカーが、あらゆる製品に法律で寿命を割り当て、期限後に使い続ける人へ課税する案を出した。いまモノの寿命を決めているのは誰か。

照明の色を変えたら、夜にスマホを見る時間が本当に減ったのか
暖色のスタンドを足したら、夜の画面時間が減った気がする。夜の室内光でメラトニンが半分になる明るさは、人により50倍以上違った。「気がする」を研究で確かめ直した。

温泉から帰った翌朝、静けさはどれくらい保つものなのか——復帰初日の終わりには、休暇で減った仕事の反すうの4分の1が、もう戻っていた
休暇の中ほどで下がっていた仕事の反すうは、職場に戻った初日の終わりまでに、下がった分の4分の1が戻っていた。2週間後にはほぼ休暇前に戻ったが、リラックスの感覚は残った。戻る速さは、静けさの種類ごとに違った。

温泉旅館の豪華な夕食を、少し残すという選択——食後、脳の血流は変わっていなかった
食後に眠くなるのは血が消化器に集まるから、という説明は、測定では支持されなかった。腹部の血流は約30%増えるが、脳の血流は変わらない。宿泊施設の夕食の食べ残しは14.8%(平成21年度調査)。

42度と38度、湯温を変えると何が変わるのか——「入浴で腹囲が数センチ縮む」は実測で0.8センチだった
体温に近い水でも、首まで浸かると心拍出量は約5割増えるが、「入浴で腹囲が数センチ縮む」という通説の実測は0.8センチだった。体温の上がり方は、研究室と家庭の風呂で数倍違い、ヒートショックプロテインの研究も、42度超の湯のものではなかった。42度と38度の湯で、体に何が起きるのかを数字でたどる。

電波の届かない温泉宿を、あえて選ぶ理由——スマホが机にあるだけで頭が鈍る、という実験は直接の追試で再現しなかった
圏外の温泉宿を選ぶ理由を、研究に当てて確かめる。スマホが視界にあるだけで頭が鈍るという実験は、事前登録の追試で再現せず、自然による注意の回復も、追試で割れた。標高の高い宿では、血圧は上がり、睡眠は浅くなる方向に動いた。

強酸性の湯とアルカリの湯、肌には何が起きているのか——pH2の湯でも、健康な皮膚のpHは4.9から4.5にしか下がらなかった
pH9.5の石けんで乳児を洗うと、10分後の皮膚のpHは0.45上がった。pH2の草津の湯に入っても、健康な皮膚のpHは4.9から4.5に下がっただけだった。「酸が菌を減らす」という説明も、酸だけでは足りなかった。

温泉で「効いた」と感じるとき、何が効いているのか——水道水の風呂でも膝は良くなり、温泉水の群はそれを上回った
遠くて不便な温泉で「効いた」と感じるのは、何のおかげなのか。温泉水と、色と匂いを似せた水道水に分けた58人の膝の試験では、水道水の群も改善した。厳しい入会ほど好意が増す実験は追試で割れ、何もしない時間は思ったより難しい。

「効率化」という言葉を使わずに、冷蔵庫の中身とどう付き合うか
1903年の料理書は、すでに厨房の管理を書いていた。「効率化」の語彙が暮らしを軽くするのか窮屈にするのかを、家事の統計と古い資料で確かめ直した。
